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Channel: 水彩画と俳句の世界
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十一月の詩(十王図)

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                                           晩秋の大宮川(日吉大社・大津市) F8 水彩 

                  十王図

 夕夏至やゆるりと沈む部分食   惟之

 一里塚榎たかだか梅雨青し

 荒梅雨や死者を裁きぬ十王図

 ダリア咲く閻魔の御座す十王寺

 七夕やコロナの収束祈りし子

    誌上句会 兼題「秋の水」

 特選

 大江戸へ通船堀や秋の水  章代

 禊ぐ術あらばゆだねむ秋の水  千代

 豊秋の水煌めきて村に入る  一江

 吉と出る水占いや秋の水  三枝子

 一村の沈むダム湖や秋の水  京子

 秀句

 新しき杓整ふや秋の水  保子

 一掬い糺すの森の秋の水  胡蝶

 下山後の手足の弛び水の秋  咲久子

 秋の水おきなおうなの映る影  靜風

 川のぼる魚影透かし秋の水  由紀子

 日本橋よりのクルーズ秋の水  鈴子

 小流れに沿う家並みや秋の水  山女魚

 草蔭に鯉のゆらりと秋の水  朋子

 茅葺きの美山の里や水の秋  惟之

 渡良瀬の昼を静かに秋の水  和男

 嵯峨野路の奥の深さや秋の水  富治

 木の間より鳥の出入りや秋の水  和己

 千年杉根方の濡らす秋の水  洋子

 秋水や出来映えのよき墨流し  珠子

 尋ねては富士山麓の秋の水  詔義

 羽繕ふ朱の水掻きや秋の水  啓子

 剣豪の詰め寄る間合ひ秋の水  円町

 霊山の裾の急流秋の水  恵子

 コロナ禍や秋水盆に返らざる  喜志子

     やまびこ(九月の作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

 布施かとも鉄鉢に受く花吹雪  恵弘

 母の日や省みる日は多多あれど  龍策

 春風を手のひらで押す太極拳  邦弘

 夕映えのとどまる里や麦の秋  戀

 雲をぬぐ立夏の山のまぶしかり  戀 

 見慣れたる山のふくらむ端午かな  梅子

 マスクして心の見えぬ擦れ違ひ  博女

 花万朶運に任せて生きてきて  隆を

 医を称ふ拍手連帯青き踏む  怜

 田水張り風を泳がす水面かな  研二

 丸くなる我の背を押す青田風  喜美恵

 昇り藤の花がそよげば夕御飯  和子

 御文庫に耀変茶椀清和かな  弘子

 蒲公英や使う目途なき大鞄  美樹

 尺蠖のぴんと張りたる気骨かな  敏子

  俳誌 嵯峨野 十一号(第592号)より

 

  


案山子の創作展

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             案山子の創作展(大津市関津) 

  案山子の創作展がありました。案山子は竹や藁などで人の形を造り、田畑に立てて、鳥獣が寄るのをおどし防ぐもので秋の季語。農神でもあった。ここに登場の案山子はあまりに見事で、時を忘れで楽しませて頂きました。   

   老二人手と手を合わす案山子かな   惟之

   かかし村こちらですよと指す案山子

   受付はテントの下の案山子かな

   土手に座し園児見守る案山子かな

   うら若き少し色気な案山子かな

   母と子の仲睦まじき案山子かな

   背の丸き案山子居並ぶ野菜畑

   幸福の亀と一緒の案山子かな

   山並の彼方は比叡すすき原

   

        

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北国街道今庄宿

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      北国街道今庄宿(今庄観光協会パンフより)

 北陸の玄関口・今庄宿の街道歩きをしました。短冊状の全長1kmばかりの街道ですが、今庄の歴史を探る楽しい町歩きでした。石山駅から近江塩津、敦賀、今庄駅へ2時間ばかりでしたが、いい一日を過ごしました。

 険しい峠を背にする今庄宿は、京や江戸に行き来する越前国の各藩や旅人が必ずといっていいほど利用しました。江戸時代のある旅日記には、茶店で田楽や蕎麦が売られ、都訛りの言葉で呼び込みをする今庄宿のにぎやかな情景が記されています。幕末の記録では旅籠屋55軒、茶屋15軒、酒屋15軒、娼屋2軒などがあったとされ、大きな宿場町として繁栄した様子がうかがえます(今庄観光協会パンフレットより記載)。

 今庄駅ー御札場跡(北村善六家)-高札場跡ー白駒酒蔵ー吉五商店ー高野由平商店(梅肉)-今庄宿入口(稲荷神社)-昭和会館ー脇本陣跡ー本陣跡ー旅籠若狭屋ー京藤甚五郎家・脇本陣跡ー北陸線踏切ー今庄宿入口ーおばあちゃんの店(そば処)-今庄小学校前ー今庄駐在所前ー北陸線高架橋ー今庄駅

  今庄へ北陸トンネル冬に入る    惟之      

  街道にうだつ連なり柿熟るる

  軒下の杉玉ゆれて新走り(御札場跡)  

  梅肉のひと箸試食生姜味

  大雪は軒うえ越えて御札場跡

  今庄の本陣跡や柿熟るる

  古地図の真中に安土紅葉散る(京藤甚五郎家・脇本陣跡)

  脇本陣に紅葉且つ散り刀傷(京藤甚五郎家・脇本陣跡)

  街道に蕎麦あり酒あり娼家あり

  ゴジラゐるナンバープレート冬日差し

  今庄におろしそばあり友は酒

  そば食へば北陸本線列車ゆく

  冬浅し駅のベンチにゴジラ座す

  校庭に子等の声なき神無月

  高架よりそば工場も酒蔵も

  欄干におろし蕎麦あり楽しかり

  吊るし柿ずらり10連土産とや

  冬に入る北陸トンネルいと長し

 今庄駅ホーム

 今庄駅ホーム2

 今庄駅おみやげ屋

 つるし柿のお土産

 

 秋晴れて今庄駅前清水酌む

 

 街道脇に忠魂碑

北善商店。享保元年(1716年)創業。落札と金銀を両替する御札場を勤めた北村家の造り酒屋。酒銘「聖乃御代」は、戦後、平和な時代への祈りを込めて京都の高僧が命名したと伝えられる。 

 杉玉の小さく揺れて新走り

 大雪の時は小屋根を越えて積もったと北善商店のご主人

 御札場跡の案内

 

 街道行く

元禄10年(1679年)創業。徳川将軍奉行所より「古代酒監札」を交付された京藤家の白駒酒造。

 100年以上変わらないこだわりの味噌つくり。厚揚げや豆腐もおすすめの吉五商店

  梅肉の看板を掲げる高野由平商店

 稲荷神社前(今庄入口)

 冬の日のきららと照りて地蔵尊

 白壁の街道をゆく仲間かな

 新羅神社の鳥居まえ行く

  高札場跡の案内

  街道に柿熟るるなり日を浴びて

 

 街道の昭和会館紅葉晴れ

 昭和会館・脇本陣跡の案内

 明治天皇行在所跡

 本陣跡の案内

 街道に紅葉且つ散る門屋場跡

  京藤甚五郎家の案内

  京藤甚五郎家の脇本陣跡、奥の縁側に刀傷の柱

 酒に酔った浪士がつけた柱の刀傷

  ゴジラがデザインされて福井のナンバープレート

 今庄宿南の入口

 おばいちゃんの店

 北陸本線踏切を行く列車

  今庄小学校前

 

  国道365線沿いを行く

  今庄駐在所

  清らかな流れの日野川

 

 高架橋の欄干の今庄そば

 ベンチの怪獣(敦賀駅)

 江戸時代の今庄の賑わい(今庄駅にて)

 

 

 

 

 

  

  

 

 

十二の詩(鳥兜)

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        弘誓寺の蜜柑かがやきはじめたり(東近江)水彩6F    

      鳥  兜

  鮒ずしや北湖南湖を食べ比ぶ  惟之

  吾子泣ひて尾のなき守宮放しけり

  盆三日帰れぬ子等と絵を交はす

  稲光湖を平らに走りけり

  鳥兜ひつそり郡れし比良比叡

     誌上句会 兼題「秋夕焼」

  特選

  秋夕焼映す川面や風立ちぬ  保子

  山上に祀らるる舟秋夕焼   惟之

  一仕事終へて珈琲秋夕焼   円町

  山山の渓の深さよ秋夕焼   みどり

  すり抜けるスケボーの子や秋夕焼   佳子    

  秀作

  鐘の音の海に出てゆく秋夕焼   京子

  秋夕焼大河の蛇行浮き立たせ   章代

  望洋の高台に酌み秋夕焼   稔

  トロムソを水平移動秋夕焼  胡蝶

  海に沿ふ秋夕焼の五能線   和男

  日照雨過ぐ秋夕焼の嵯峨野かな  美智子

  秋夕焼クラブ帰りの子らのこゑ  靖子

  久に見る秋夕焼の鳰の湖   静風

  秋夕焼真つ只中に漁る    三枝子

  犬吠の波のパノラマ秋夕焼  陽子

  ラクビ―のゴールホストや秋夕焼 恵子

  鳥羽の海の船の行く手や秋夕焼  須磨子

  清閑な鍵屋の辻や秋夕焼   敏子

  秋夕焼子らの約束またあした まこと

  古里に弟ひとり秋夕焼    富治

  秋夕焼天空映える高野山   珠子

  パスポート白きままなり秋夕焼  秀穂

  秋夕焼戦艦大和の如き雲   詔義

  黒雲は火を噴くゴジラ秋夕焼   啓子

  アンコールの仏塔浄土秋夕焼   咲久子

      やまびこ(十月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

  花栗の濡るるともなく月に濡れ  清次

  若葉風寐てゐる部屋を通りけり  志津

  母の日や千人針の遠き日を    爽見

  十薬の一揆めく香のありにけり  爽見

  衣替へてどこにも行かぬ日の続き  和子

  口端にものらず父の日暮れにけり  素岳

  ふと香る少年の髪夏の雨    久美子

  久久の車窓青葉の迫りけり   東音 

  老ひてなほ夢を追ひたし茄子の花  きぬ

  草笛を吹いて歳月呼び戻す   素岳

  青嵐一過里山裏返る      圧知

  はつなつの百葉箱の白きかな  怜

  心の荷一つづつ解く更衣    近子

  噴水に恋の告白さらはれる   布美子

  遠慮なき母子二人の午睡かな  彩子

  風薫る心に寒くチェロを聞く  英二

      俳誌 嵯峨野 十二月号(通巻593号)より 

 

  

    

 

  

夜空の月に照らされる二匹の猫

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         夜空の月に照らされる二匹のねこ  磯部こはる(12歳)  切絵

図工の時間に制作された小学校6年生の切絵。左右対称の見事な作品です。切絵の経験がない私、どんな手順で制作したのかとても興味深いです。今はコロナで会えないけれどその日を楽しみにしています。月の俳句をいただきました。

            月天心

      向かい合ふ切絵の猫や月天心   惟之

      月天心猫の尾つぽも高高と

      耳鳴りも宙へ跳んでけ月天心

      古希と喜寿無事に過ぎゐて月冴ゆる

      あの街へGoTo Eat月冴ゆる

                    

      

     

    

一月の詩(萩むら)

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        萩むら

   萩むらに隠れて古寺の白秋碑   惟之

   轆轤ひく木地師の里や蕎麦の花

   柳生への小道を照らす月今宵

   鹿の名を呼びし土産屋東大寺

   雁渡るかるがね地蔵の空高く

      誌上句会 兼題「秋深し」

   特選5句

   秋深し日向を継いで歩きけり  秀子

   山寺の不滅の法灯秋深し    博女

   さりげなくお洒落なベレー秋深し   陽子

   仰ぎ見る星の曼荼羅秋深し   胡蝶

   山の端の雀色時秋深し     恵子

   秀作20句

   デニム地の藍の香りや秋深し  京子

   京の護符貼る酒蔵や秋深し   惟之

   秋深む夕べの皿の色を替え   みどり

   秋深し馴染まぬままのデジタル化   珠子

   突堤を叩く怒涛や秋深む    基雲

   人気なき渚のしらべ秋深し   靖子

   宿下駄のころんと音し秋深し  篤子

   旅一日小さき駅も秋深し    静風

   認める長き便りや秋深し    捨弘

   秋闌くるかさね五色のウインドウ   啓子

   老画家の小さき個展秋深し   まこと

   螺子回す昭和の時計秋深し   洋子

   麒麟草丈低きまま秋深し    つとむ

   米を磨ぐ音のとどくも秋深し  稔

   快方に向く医者通ひ秋深し   祐枝女

   武蔵野のお鷹の道や秋深し   山女魚

   花の鉢仕舞ふ日和や秋深し   葵堂

   秋深しノートに残る夫の文字  三枝子

   秋深し雲脚早き牛尾山     テル

   秋深しコロナウイルスなお深し 保子

     やまびこ(十一号作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句から

   リスト行く新緑の山広げつつ  篤子

   寅さんのゐさうな旅の夜店かな 恵子

   風蘭の風に吹かれてゐたき庭  靖子

   老いの道に合わぬと戻る道をしえ  きぬ

   巴里祭両手にあまる花を買ふ  爽見

   掛け算の水嵩となる梅雨出水  素岳

   星祭ちちに習ひし紙縒よる   勢津子

   風鈴や猫はのそりと動き出す  久子

   たかいたかい虹より高く児の笑顔  方城

   藤蔓や虚空を探る拠      ともはる

   晩年の一歩重たし額の花    千代

   窓の風団扇の風とすれ違う   梨々子

   梅雨最中残る記憶の夏の海   智子

   夜濯やふと子育ての日にかへり  鈴枝

   亡き夫のまだ捨てきれぬ登山靴  和江

   海の香の髪きしきしと洗ひけり  美幸

   梅雨じめり猫丁寧に毛繕ひ   照子

       俳誌 嵯峨野 一月号(通巻594号)より

   

   

   

二月の詩(案山子)

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            保津峡乗船場(京都・亀岡) F8  水彩

         案山子

  初乗りの赤い自転車ばった跳ぶ   惟之

  すいすいとペダルを漕げてとんぼ飛ぶ

  創作の案山子の展や野菜畑

  山並や大河を照らす月明り

  焼討ちの四百五十忌月今宵

     誌上句会 兼題「酉の市」

  特選

  手拍子は指から掌へと酉の市   信義

  大熊手かつぐ御仁に道を開け   山女魚

  酔眼におかみ微笑む大熊手   和男

  時代劇の江戸っ子のごと酉の市  稔

  熊手持ち訪ね来る子ら茜空  翠

  秀作

  威勢よき声に始まる酉の市    基雲

  開運の熊手は言ひ値で決まりけり   章代

  コロナ禍もここは無縁や酉の市  捨弘

  歩行器をむんずと握り一の酉   文夫

  金平糖どの色も好き酉の市   京子

  柝の音に商売繁盛酉の市   秀穂

  煌々と裸電球三の酉    まこと

  酉の市小さき熊手にも手打ち   喜志子

  境内の人皆マスク一の酉   須美子

  干支八度巡る媼の酉の市   珠子

  酉の市小さき土産買ひ求む   紀久子

  三蜜に小声の拍手酉の市   加代子

  九十八を迎へる妣や一の酉   惟之

  どれほどの福取り込まん酉の市   咲久子

  一と二と三の酉市行く習ひ   三枝子

  二人来てはぐれて一人酉の市   富治

  三の酉ありて諾ふコロナ禍や   佳子

  コロナ禍に行けぬ行きたし酉の市  詔義

      やまびこ(一二月の作品から)感銘・共鳴ーー私の好きない一句

  この海の底に声あり終戦日   爽見

  蔵王詠み月山を詠み夏惜しむ   京子

  活けられて風を忘れる尾花かな   廣平

  亡き人に逢ひい行く道蝉時雨   優江

  原爆の日と思いつつ句座にあり   惠弘

  義理ひとつ欠かさぬ母や秋扇   鈴枝

  炎天へ一歩ためらふ己が影   素岳

  語部の声まで日焼けしてをりぬ   素岳

  雛の手を撫でて八月十五日   久子

  進まねばならぬ道あり木下闇   博女

  水吸うて吸うてここまで丸茄子   隆を

  蝉声の海に落ち入る御前崎   仙命

  あなたなら私に止まれ秋茜   洋子

  風鈴の色は褪せても音褪せず   繁子

  今生の命の叫び蝉の声    捨弘

     俳誌嵯峨野 二月号(通巻595号)より  

  

  

  

  

まち、ゆたかなまち

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     「まち、ゆたかなまち」 いそべけいすけ  小学1年

       バーべキュウ―の4人仲間と手をつなぐ(部分)

        「思い出の水車と池」 磯部こはる  小学6年       

           さくらの若葉と手造りの額縁(部分)  

 東京・練馬区在住の姉弟が小学校の連合図工展覧会に選ばれ、作品を送ってくれました。一年生の恵介君の作品名は「まち・ゆたかなまち」。切り絵とクレヨンの組み合わせで、理想の街を描いたとか。力を入れて描いたのはバーベキューをしている4人組。右の二人は甲虫と鍬形のシャツを着て、兜虫の子は大きく笑っているようです。想像を超える楽しい絵で、元気を沢山もらいました。また、来月卒業のこはるちゃんの作品名は「思い出の水車と池」。六年間過ごした校庭の思い出を描いたとのこと。自分の目で見た本当の色を再現することで桜の下の葉っぱを頑張ったそうです。桜の幹のタッチがとても大胆で、葉っぱの一枚一枚にも思いが込められています。こはるちゃん、恵介くんありがとう。コロナが収まったら会うね。     

      向かい合う鴨もソーシャルディスタンス    惟之

      手を繋ぐ子らの空ゆく春の雲

      かぶとむし胸に描きて笑ってる

      鍬形のシャツを着てゐる帽子の子

      早春の街ゆたかなり屋根連ぬ

      汲み上げの水を飲んでる春の犬

      折り紙の魚もゐたり春の鰭

      春日浴ぶ二両連結新幹線

      釘跡の四角が光る春の額

      額縁は若葉の色よ春萌え木      

      樹の文字は「さくら」なりけり春を待つ      

      親と子の緋鯉もゐるよ温む池

      コトコトと希望の水車水温む

      生きるとは共にあること卒業歌

      卒業はもう真近なり採寸す

      

      

      

      


三月の詩(木之本宿)

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             北野天満宮(2019年3月)

     木之本宿

  山霧のゆるりと流る賤ヶ岳   惟之

  木之本の牛馬市跡初時雨

  鐘楼の鐘は打てずに冬に入る

  漆黒の戒壇巡り冬の銅鑼

  軒下の杉玉ずしり冬めける

     誌上句会 兼題「寒」

  特選

  寒雀丸くなり尚丸くなり   万智子

  なかんずく青信号の灯の寒し   清次

  寒鯉寒鯉釣りも動かざる   三枝子

  曳き売りの距離を計らふ寒鴉   京子

  寒の星動く生きよと亡妻の声   洋子

  秀作

  稚魚遊ぶ底に動かぬ寒の鯉   惟之

  寒禽の風強ければ強く鳴く   篤子

  ちぎれ雲寒空を来て海へ出て   つとむ

  夕厨不意にヒューズのとぶ寒さ   恵子

  寒日和児に小庭の石に猫の来て   紀久子

  嵯峨野の夜の竹打つ音や寒に入る   円町

  飼い犬の聞き耳立てる寒さかな   里子

  走り根に浮くアスファルト寒日和   葵堂

  寒き夜の母にせがみし民話かな   捨弘

  寒風を斜めに受けて六地蔵    信儀

      やまびこ(11号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

  赤とんぼ地蔵の膝がほんに好き   素岳

  衣被好みて歳を重ねけり    喜志子

  還らざる遺骨啾啾雁渡る    ともはる

  少年がやや大人びる九月かな   ひさ女

  平凡に日日を老いゆき秋ざくら   惠弘

  むさしのの秋は水より芒より   東音

  右読みの屋号の町や秋灯し   東音

  恙なき今日を惜しめとちちろ鳴く   きぬ

  蟲の声ちつと途切れて新聞来   圧知

  満月の裏にあるやも能舞台   怜

  子の古き机に燈火親しめり   近子

  鈴虫のこゑのふくらむ明けの土間   布美子

  友逝きてはやひととせや夏深し   悦子

  小流れの果ては海原秋気澄む   正弘に

  太刀魚のくの字くの字に釣られけり   睦美

  花すすき活ければ風の生まれけり   古奈

      俳誌 嵯峨野 三月号(通巻596号)より

  

        

           

第76回びわ湖マラソン

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                        第76回びわ湖毎日マラソンの鈴木健吾選手 

 2月28日に行われたびわ湖毎日マラソンで、鈴木健吾選手が日本人初の2時間4分台の日本新記録で優勝。滋賀県での最後のレースに花が添えらる。国内で続くマラソンでは、最も歴史が長く、多くのトップランナーが76回を数える大会を彩ってきました。今後は、大阪マラソンに統合され、来年2月に行われる。

   36キロの給水地点。先頭グループ3人の中で、勝負所に頭を巡らす間にボトルを取り損ねた鈴木はひらめいた。「他の選手が給水をとっている間に行こう」。一気に1キロ2分53秒ペースを上げ、2人を置き去りに。その時まで記録を意識していなかったが、タイムを確認し、「2時間5分を切れる」とスイッチが入った。最後は「やった」と雄叫びをあげ、ゴールへ飛び込んだ(読売新聞)。

 なんと日本歴代10傑に5人が入るという記録ラッシュ、コロナ禍で生まれた高速レースとも言われる。2月の別府大分、東京マラソンが延期になり、力のある選手が集結。先頭集団のペースメーカーは日本記録を上回る設定で気温はマラソンに適した10度前後、大会特有の向かいも少ない気象条件にも恵まれ、厚底シューズの普及も後押したといわれる。

      有終の記録ラッシュやミモザ咲く   惟之

      春雲や動かぬヘリは堰の上

      5着まで歴代5傑春のマラソン

      コロナ禍も高速レースの後を押す(無季)

      日本新も基金の枯渇春憂ふ      

  びわ湖毎日マラソンスタート直前・皇子山陸上競技城 9:15

 

    

 南郷洗堰を激走の先頭集団

 洗堰を激走の第2集団      

 

 後尾車、退会者、収容車が赤信号を行く    

 

 大会の支援者たち(南郷水産センター駐車場

  

 27kmの掲示板を掲げる支援者

 

  ヘリコプターは上空を一時停止して取材

 

  27km地点を激走の先頭集団(75番は鈴木選手)

  第2集団を拍手で応援

 

  激走の第3集団

 2の時間4分46秒の日本新記録で優勝の鈴木健吾(読売新聞より)

 優勝直後の喜びの鈴木健吾

 2時間6分26秒で2位の土方英和 

  2時間6分35秒で3位の細谷恭平

 2時間6分47秒ので4位の井上大仁

 優勝のインタビューの鈴木健吾(富士通 25歳)

房総の海女

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       若木山(わかぎたかし) 安房ノ海処女(おとめ) 1951年

        (紙・着彩 二曲一双 180×176㎝ 千葉県立美術館蔵) 

  風光明媚で漁業が盛んな千葉県の房総半島には、江戸時代以来、多くの絵師や画家が訪れて漁村の様子を描いた。自然に抱かれたおおらかな人間の生活にあこがれた日本画家の若木山(1912~72年)もその一人だった。1950年代初め、房総半島南部の安房地方で描いた「安房ノ海処女」の3人の海女は、水中メガネを着け、海に潜る準備を整えている。

 1609年、この田尻海岸沖で、スペイン船サンフランシスコ号が、メキシコに向かう途中、嵐の中で座礁、付近の住民、特に海女たちが乗務員救助に活躍した。現場近くの説明板には、乗組員373人のうち317人が救助されたことや、「海女たちは、飢えと寒さ不安にふるえる異国の遭難者たちを、素肌で暖め蘇生させた」と言い伝えを記す。(2021年3月7日、読売新聞みほっと より)

    沖を見る安房の海女の立姿   惟之

    国境を越えた隣人愛の海女

    

 

四月の詩(冬うらら)

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            明智越え(京都市亀岡) 50号 水彩  

      冬うらら

  今庄の卯建卯建よ柿たわわ   惟之

  冬うらら駅のベンチに座すゴジラ

  冬至風呂子らと遊んだ浮寝かな

  蜜避けて煤払いなり御影堂

  花八つ手朝日に映えて八十路へと

     誌上句会 兼題「野焼」

  特選

  翔けるもの追ふかに野火が挙がりけり   稔

  田の神へ畑の神へ野火一柱   清次

  野焼あとどこか芽の出る音がして   静風

  野を焼ける抜きさしならぬ炎のあがり   三枝子

  蒲生野の野焼が覆ふ比良比叡   惟之

  秀作

  縄文の石の遺構や野火赤し   恵子

  遠巻きの子ら躁がせて野火猛る   洋子

  松明をかざす村長野焼煤   京子

  風なくば風をたたせて野火走る   篤子

  故郷は箱根の麓野火走る   佳子

  てらてらと頬なめ過ぐる野焼風   まこと

  境界に仁王立ちして野火守る   和男

  遠野火の焔に追われたる鴉かな   みどり

  根こそぎはせず火の走る阿蘇野焼   啓子

  野焼して空の広さのどこまでも   紀久子

     やまびこ(二月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

  老いて尚習ふ日日あり鶏頭花   惠弘

  大役を終へし案山子のすまし顔   テル

  秋深しシチューをぷくりぷくり煮る   遼子

  夕暮れの静寂まとひ曼殊沙華   爽恵

  咲きつくし命傾く秋の薔薇   治子

  小春日や古びし法衣つくろひぬ   惠弘

  山の日の行きつく所ななかまど   道子

  廃校の校歌を歌ふ秋思かな    淑子

  引き直すスタートライン秋澄めり   布美子

  名月や母屋へつづく石畳    鈴子

  麦とろや柱に志士の刀疵    謙三

    俳誌 嵯峨野 四月号 (通巻597号より)   

  

  

  

  

中山道柏原宿

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              清瀧寺徳源院の枝垂れ桜

中山道67番目のうち江戸から60番目の宿場、柏原宿の散策を今宿に続き行ってきました。散策仲間は10人。4月3日(土)、桜満開の散策はとても幸運でした。清滝山山麓の徳源院の枝垂れ桜は見事でしたが、石堂寺前、水面の花びら一面も素晴らしいひと時でした。みんなで頂いたやいとうどんもとても美味しかった。清滝山、霊仙山は以前に登り、懐かしさもあり感慨深い街道散策でした。計画いただいたIKEDA様ありがとうございました。

散策コース JR柏原ー芭蕉句碑ー石堂寺出会いー古木・柏槇ー清龍寺徳源院ー五輪塔・観音ー石堂寺ー石堂寺出会いー火の見櫓ーやくし道道標ー日吉神社ー柏原宿歴史館ー伊吹堂亀屋左京商店ー本陣跡ーJR柏原駅ー寝物語の里ーJR柏原駅

     乗換はわずか五分や春の駅  惟之

     せせらぎて花のトンネル遠伊吹

     遠伊吹土手に群れゐる蕗のとう

     右伊吹左霊仙花吹雪

     名木の伊吹の巨木いぬふぐり

     ポピー咲くムスカリの道辻の鐘

     桃源の清瀧の里花吹雪

     拝観止めの京極家の墓所桜散る

     京極の菩提弔ふ火の祭

     宝冠を被る観音花明り

     累累と五輪の塔や花の山

     高高と火の見櫓や蕗の薹

     春の昼やいとうどんを喰ぶ十人

     艾屋の読めぬ一字やさしも草

     中山道日陰て読めぬ蝋燭屋

     街道を行き交ふ電車水仙花

     赤白の花に見入るや垣根越し

     春陽照る寝物語の大石碑   

      

  JR米原駅乗り換え 10:00発

 JR柏原駅前

 観光案内図の前

 約2Km先の清瀧寺徳減院を目指し、一行10名は街道の裏道を行く

 遠山は以前に登った霊仙岳。

 花のトンネルの下に居るのは?

 石堂寺への分岐道。 「蛍をとらないでください」の立札あり。

 「ここは清滝です」の道標に「ようこそ」の歓迎の気持ちが満ちている。

 徳源院への道を整然と行く

 

 徳源院の案内を見て期待を膨らます

 清瀧山を見上げてゆっくり歩む

 ネギ坊主と軒下の吊るし玉葱の傍をゆく😊

 滋賀県指定自然記念物の案内。名称 山東町清瀧のイブキ(柏槇びゃくしん) 幹周4.9 m  樹高10m 樹齢(推定700年) 京極氏が伊吹山から一株の苗木を投げ、その飛んだところを墳墓にしようとしたのが、当地まで飛んで来て、根づき、以後、ここを氏の本拠とした由緒あるのので、また、イブキとしては県内最大級の巨木である。

 赤いポピーとムスカリに降る花びらの道

 徳源院の本堂前の枝垂れ。あいにくにコロナ禍で入場休止

 偶然に門前まではOKとなりて、パチリ

 こんな桜は生涯に、まず見ることはないだろうとパチリ

 花絨毯の清瀧神社の鳥居

 清瀧神社の境内

 花の路を一路、石堂寺へ

 畑には、チュウリップ

nう

 いぬふぐり

 石堂寺の宝冠の観音立像と五輪塔。子らが小山に登り降りして遊んでいた。

 五輪塔が累々と並んでいた(石堂寺)

 石堂寺正面に皆が待っていた

 石堂寺前

 水面に溢れた花びら

 街道沿いの畑の蕗の葉

 見つけた蕗の薹

 江戸時代の柏原宿を見守りつづけた火の見櫓(やぐら)

 柏原宿歴史館まで300mの標識

 やくし道の標識

 日吉神社

 国の重要文化財の柏原宿歴史館、建物は三層の豪壮な屋根組み

 やいとうどんの暖簾をくぐる

 長い廊下のガラス戸、波打つガラス戸に当時の姿を感じ、日差しも柔らかい

 

 みんなで、頂いた「やいとうどん」。半切りゆで卵の上にもぐさに見立てたおぼろ昆布とやいと火の紅ショウガ

 伊吹堂亀屋左京商店 

 高札札場(札の辻)跡

 柏原宿本陣跡 

 柏原宿本陣跡

 蝋燭屋

 歴史街道 中山道の石碑(←柏原宿・江戸期大和郡山領 →長久寺・寝物語の里)

 右下の句碑 野ざらし芭蕉道 「年暮ぬ笠きて草鞋はきながら」 はせを

 細い溝を境に岐阜県と滋賀県

 寝物語の里の石碑 近江と美濃の国境の小さな溝を隔てて並ぶ二つの旅籠に泊まった旅人が、壁越しに寝ながら話をしたという伝説からつけられた(中山道柏原宿散策マップより)

 垣根越しに赤白の桜の植木を見つけ思わずパチリ

 

 

太神山御車返しの桜

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             御車返しの桜(太神山不動寺)

 4月24日(土)、太神山不動寺の御車返し(みくるまかえし)の花見に行ってきました。満開を期待していましたが、今年は開花が早く、見ごろは過ぎていました。花びらが時おり。ひらひらと毀れ、花の絨毯が広がっていました。御車返しの桜は桜の品種の一種で、一本の木に一重と八重の花が付きます。名前は後水尾天皇が京都御所の宣秋門で見た桜が美しく牛車を引き返したという逸話と公家の2人が一重か八重で言い争いになり、牛車を引き返したという逸話によると言われています。

 石据橋ー天神橋(仮称)ー迎不動ー不動橋ー休憩所ー泣不動ー二尊像ー御返り桜ー不動寺ー山頂(599.8m)ー御返り桜ー二尊像ー泣不動ー迎不動ー天神橋(仮称)ー石据橋

   囀りの四方八方千頭岳    惟之

   山影に隠れし比叡匂鳥

   微笑と頬杖の像山ツツジ

   微笑の二尊像なり匂鳥

   不動寺の花の絨毯薄日差す

   花びらの静寂ひとひらひらひらと

   別れなる花のいとほし御車返し

   一重八重見届け別る花見かな

   新緑や丁石かぞへ山下る

   緑さすトンネルぬけて山下る   

 天神橋架橋の第二名神高速工事現場

 天神川架橋工事の現場2

  新緑の山路を自転車を押して

 迎不動の湖南アルプス案内

 不動橋、泣不動への分岐道へ

 不動橋を渡る

 鶯があちこちより聞こえる千頭岳方面の見晴らし、比叡山は右山影にかくれんぼ

 休憩所での小休止

 少し不気味な大岩

 泣不動

 左右の目が違っている

 不動寺入り口の二尊像

 右の尊像はおかっぱで合掌して微笑んでいる

 左の尊像は右手で剣を握り、左の掌に顎を付き、微笑のポーズ。

 

 御車返し桜1

 御車返しの桜2

 見車返し桜3

 御車返し桜4

 御車返し桜5

 桜の絨毯1

 桜の絨毯2

 駆け造りの本堂へ

 不動明王の在す本堂

 太神山山頂(599.8m)

 山頂三角点の標識

 お疲れ様でした

  損壊激しい階段

 別れの御車返し桜

 少し赤みの花が八重、白っぽく見えるのが、一重のように思います

 丁石四十一を見て下山

 新緑の下山

 山ツツジ

 新緑のトンネルを二輪で下山

 

 

五月の詩(薺粥)

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                           新緑の県立図書館 8号 水彩(2005年) 

       薺粥

  年越の大雪となり金閣寺   惟之

  伊吹山に雲の棚引く年迎ふ

  表紙絵に賜る祝意初便

  顔に幣付けられ牛の初詣

  古希と喜寿明けてほのぼの薺粥

    誌上句会 兼題「水温む」

  特選

  行く水もとどまる水も温みけり   篤子

  玉川上水口開く鯉に水温む   加代子

  水温む驚き易き稚魚の群れ   三枝子

  川底に雑魚の群れあり水温む   みどり

  古民家の土間に農機具水温む   洋子

  秀作

  池温む主の大鯉現るる    恵子

  賀茂の川水切る子らや水温む   奏行

  鉄橋のレールの響き水温む   清次

  水温む兆しの見えて鯉の跳ね   万智子

  水温む釣師そろりと動き出す   捨弘

  水温む鯉が出てきてすれちがふ  テル

  橋脚に残る赤錆水温む    葵堂

  ゆったりと鯉は岸辺に水温む   まこと

  水温むラジオ体操第三へ    秀穂

  沢音のやはらぐ里へ水温む    翠

     やまびこ(三月号作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

  残菊の支えられをり吾もまた    惠弘

  その影のドシラソファミレ吊るし柿    憲勝

  鬼灯を鳴らせば還る遠き日日    惠弘

  切株は小春の声を聞くところ    憲勝

  一陣の風のかたちを描く枯葉    治子

  風呂吹き矢ひとひ一日のこころざし    梅子

  三度晴れ三度時雨るる高山寺   清次

  冬耕の人影を追ひ妣を追ひ   東音

  声はすぐ風となりゆく大枯野   鈴枝

  遡上する鮭に朝日の惜しみなく   方城

  若き日の父母の恋文ねむの花    幸江

  一冊の本に誘われ秋の旅    邦弘

  日本海どぼんと釣瓶落しかな    邦弘

  猫はいま夢の最中や毛糸編む    節

  彩のなき野を迷ひたる冬の蝶    泰子

     俳誌 嵯峨野 五月号(通巻598号)より   

 

 

 


六月の詩(初不動)

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            睡蓮(大津市大萱)F6 水彩

       初不動

 堰にあそぶ鳰もソーシャルディスタンス  惟之

 大津絵の鬼もマスクの立姿

 石山の泗水を浴びて初不動

 アべべ瀬古走つたびわ湖春終へる

 比叡に向く艇庫の扉春日射す

      誌上句会 兼題「辛夷」

 特選

 辛夷咲く峡に二の谷三の谷  洋子

 龍太忌の百戸の谿の花辛夷  珠子

 高原の風に声あぐ辛夷の芽  みどり

 花辛夷真白や戦なき空に  三枝子

 辛夷咲くたまさか風のつのる日よ  清次

 秀作

 通院の道や辛夷の花明り  佳子

 退院日今朝はればれと辛夷花  睦美

 花辛夷農事の手順確かむる  捨弘

 開墾を語りぬ父祖の北辛夷  泰山

 姉川の戦ひ跡や花辛夷  惟之

 朝鮮大学校の正門に咲く辛夷かな  加代子

 誰が為ぞ全山辛夷と申すべし  稔

 一万歩辛夷下の待ち合わせ  啓子

 むらさきに山ふくらみて花辛夷  和男

 辛夷咲く友の住家を仰ぎけり  博女

    やまびこ(四月号作品かた)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

 高架ゆく列車は冬の月へ入る  東音

 カーブして車内冬日に満たさるる  久子

 行く末の話は尽きず日向ぼこ  和子

 冬至風呂柚子の浮力と戯れる  素岳

 枯菊やかさりかさりと風抜けて  志津

 落葉さへ一さし舞ひて地にかへる  杏花

 十二月端の焦げゐる鍋つかみ  優江

 踏切の向かうの顔も十二月  爽見

 ひたすらに吾が手労る日向ぼこ  道子

 着膨れて晩学の手をさすりをり  勢津子

 囲炉裏火や夢は見るべし語るべし  方城

 本郷の銀杏落葉や朗人逝く  仙命

 声変わり真つ只中の初電話  憲勝

 熱燗やけふ大荒れの日本海  基雲

 山眠る連なる空家懐に  節子

 マスクして他人の顔ですれちがふ  幹男

 しもやけをつつむ母の手柔らかし  秀子

 冬至風呂欠伸の一つ湯に浮かべ  廣平

   俳誌 嵯峨野 六月号(通巻599号)より

中山道愛知川宿

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            中山道愛知川宿街路灯

 中山道愛知川宿の街道歩きをを仲間と楽しみました。街道歩きは守山宿、草津宿、水口宿、木之本宿、今庄宿、柏原宿に次いで7度目となりました。仲間は65歳から85歳を超える後期高齢者12名、無理のない4Kmから5Kmのコースを漫歩しています。

 今回の愛知川宿は創立150年の酒造から始まり、将門の血で染まったといわれのある不飲川橋(のまずかわばし)までのコース。青空の梅雨晴間の一日をゆっくり楽しみました。

JR石山駅8:43発ーJR能登川駅9:20着ーバス9:30発ー矢守9:47着ー愛知酒造ー豊満神社ーびんてまり館ー近江上布伝統産業館ー中山道愛知川宿商店街ー老舗しろ平ー愛知川ふれあい本陣(昼食)ー宝満寺ー不飲川橋14:40発ーJR能登川駅ーJR石山駅

   夏空へ高き煙突老舗蔵   惟之

   吟醸の試飲過ぎゆく夏の喉

   京の護符貼られし蔵や青田原

   片影に立ちて微笑む媼かな

   鈴鹿へと青田ひろごる神の杜 

   夏の日を浴びて美脚の美人の木

   姫街道お菓子となりて青田道

   惠智川は愛知川となり夏の川

   血染めなる不飲川橋夏寒し

   栗の花車窓に流れ一句かな

   支え合ひ共に歩もふ青田風    

 JR能登川駅よりバス。電柱には宿場と水車の町のイメージ。

 矢守のバス停を下り、煙突の見える愛知酒蔵へ。新酒鑑評会の幟がはためく。

愛知酒造の煙突

愛知酒造母屋

 小さな杉玉と富鶴の看板を潜り、愛知酒造へ

 早速の試飲会で純米大吟醸をいただきました。甘味、うまみ、とろみは創業150年の味 

 令和3年5月受賞の賞状

 酒蔵の前には松尾大社と北野天満宮のの御札

愛知酒造室内

豊満寺へぶらぶら

酒造見学のあと通りでお挨拶いただいた媼

鈴鹿山系へつづく青田

 豊滿神社へつづく青田

 豊満神社の山門

 豊満神社拝殿1

 豊満神社拝殿2

 御祭神は大国主命、仲哀天皇、神攻皇后、応神天皇。御利益は勝運、縁結び、美人祈願

美人の木の案内と拝殿左に置かれたハート石

ハート石

樹齢300年のムクの「美人の木」。美しい立姿は女性の美脚のよう。木肌に触れると美肌になる御利益あり。

豊満神社境内の大木

伝統産業会館

近江上布伝統会館の展示風景

近江の麻織物であるの近江上布のレクチャーを受講。滋賀県の伝統工芸品に指定されている。

お出迎え風景(びんてまり館)

びんてまり

びんてまりで囲碁を打つ

びんてまりの雛人形

中山道愛知川宿商店街入口

中山道愛知川宿商店街。街燈の上部は昔の街道風景を示して面白い。

宝滿寺へ290m。街燈上部の影が映っている。

石づくりの地蔵尊が並ぶ。前掛けもいろいろ。

和菓子屋老舗 しろ平

中山道4百年記念菓の姫街道。びんてまりの菓子も一緒に手土産に

御幸町の案内と明治天皇御聖

愛知川ふれあい本陣(奥)となごみ・カフェ(右)。 カフェで昼食

宝満寺の石灯

親鸞上人と宝満寺

歌川広重の浮世絵「木曽海道六拾九次之内恵智川」(中山道愛知川宿交流会館)

びんてまり(中山道愛知川宿交流会館)

不飲川橋(不飲池)平将門の首を洗ったと伝わる池。不飲(のまず)とは、その血で水が飲めなくなったことによる。

 

 

 

春の詩’(ミモザ咲く)

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                                            辻廻し(祇園祭) 6F 水彩

     ミモザ咲く

有終のびわ湖マラソンミモザ咲く   惟之

手作りに子等の賑わい雛あられ

被災地に零れる笑顔花菜畑

学校の森から流る卒業歌

卒業や吾子の制服採寸す

     誌上句会 兼題「麦秋」

特選

ポン菓子のどかんと爆ぜて麦の秋   洋子

目交ひの湖の眩しき麦の秋   三枝子

麦の秋姉の好みの紺絣   珠子

吉野ヶ里物見やぐらに麦の秋   啓子

麦秋の風切るハーレダビットソン   恵子

秀句

子どもらと浅瀬渡りぬ麦の秋   鈴子

裾をひく赤城榛名や麦の秋   清次

近江路やをちこちに見る麦の秋   テル

麦秋や海を遠見に伊予平野   京子

麦熟るる標一つの国境   洋子

麦秋や土塁残りし伊賀の里   敏子

ふるさとのひとすじの道麦の秋   博女

麦秋や坂をたどれば鬼ノ城跡   みどり

登校の自転車染まる麦の秋   紀久子

麦秋の風を背にウォーキング   佳子

     やまびこ(五月号作品から)感銘・共鳴ーーー私の好きな一句

菜の花や母が遺愛の鯨尺   篤子

闇のまた生きるがごとし虎落笛   爽見

初富士や海も心も凪ぎわたり   龍策

平穏な世になれと仰ぐ初御空   龍策

風冴ゆる夕べの風に磨かれて   鈴枝

この道を恵方と決めて歩むなり   清次

通夜の座に静かに毛布配られし   涼子

掃除機の音たくましき五日かな   優江

寒出して書斎に残る寒さかな   勝彦

ただいまの声よく徹る寒四郎   清次

寿の文字をちらして春小袖   布美子

一撞きの願いの鐘や初御空   初枝

ご破算で願ひましてと去年今年   小鈴

しんしんと大地の鼓動年立ちぬ   翠

予定とは生きる証や初暦   和男

暁の一息冴ゆる端座かな   法琉

日向ぼこ一針ごとの過去未来   志保子

    俳誌 嵯峨野 七月号(通巻 第600号)より

八月の詩(柏原宿)

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           赤いドック(姫路市家島)8号 水彩

     柏原宿

 街道に野ざらしの句碑いぬふぐり  惟之

 境内は拝観休止紅枝垂

 宝冠を被る観音花明り

 艾屋の読めぬ一文字さしも草

 中山道に火の見櫓や雀の子

    誌上句会 兼題「蝸牛」

 特選

 でで虫やひとりに遠き遊歩道  みどり

 悲しみは生きていること蝸牛  正和

 ででむしや空ゆく宇宙飛行船  洋子

 かにかくにふたりの余生かたつむり  惟之

 手も足も出さぬが宜し蝸牛  啓子

 秀作

 立ち止まり考え込んでかたつむり  里子

 生れ出て緑を住処かたつもり  清次

 蝸牛降りみ降らさず日暮るる  佳子

 花に未だ間のある四葩蝸牛  稔

 大観音の裳裾の襞へ蝸牛  恵子

 幼子の一歩角出すかたつむり  洋子

 身も角も伸ばして雨の蝸牛  三枝子

 わらべ歌ふと湧く雨の蝸牛  和男

 外出は通院のみや蝸牛  靖子

 木漏れ日にまいまいの渦色めきし  鈴子

    やまびこ(六月の作品から)感動・共鳴ーー私の好きな一句

 すみれ草庭一面に咲かせたし  志津 

 五能線の鉄路を越ゆる波の花  勝彦

 海光をすべる白帆や春近し  勝彦

 再びの潮騒の浜春隣  久子

 折り紙の蝉を飾りて患者待つ  博女

 ヒヤシンス夫を残して死ねません  志津

 立春や土の匂ひの野菜籠  優江

 冴返る学習塾の窓あかり  梅子

 笹鳴や瞼の裏に無二の友  久子

 今は春ダム湖の底にある故郷  篤子

 図書館の閉館チャイム日脚伸ぶ  邦弘

 初蝶と指さすうちに見失ふ  葵堂

    俳誌 嵯峨野 八月号(通巻 第601号)より

 

 

 

 

第25回滋賀水彩展の開催

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 第25回滋賀水彩展を以下のとおりご案内申し上げます。

 ご高覧いただきますようお願い申し上げます。

  日時:2021年8月25日(水)~8月29日(日)

      AM 9:00~PM5:00

      (25日は午後1時 29日は午後4時まで)

  場所:大津市歴史博物館  

     大津市御陵町2-2

     TEL 077-521-2100

  アクセス:京阪電車市役所前駅より徒歩5分

       JR大津駅より徒歩15分 無料駐車場あり

  主催:滋賀水彩会

  後援:京都水彩会

  事務局:荒金弘安 Tel 077-574-4774

      

               

 

 

 

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