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Channel: 水彩画と俳句の世界
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三月の詩(櫖の実)

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                五人囃子 6号  水彩

         櫨の実

  林間に太鼓木霊す秋まつり  惟之」

  櫨の実を三つ四つ含み山路ゆく

  穭田のみどり一面遠比叡

  未だ泥に浸かりしままの林檎かな

  秋悲し首里城焼けて崩れ落つ

        誌上句会 兼題「帰り花」

  特選

  穴の開く知恵袋かな帰り花  万智子

  仙人掌の帰り花持つ地球かな  稔

  庭石に猫の来てをり帰り花  紀久子

  帰り花母に手向ける感謝状  珠子

  雨の打つ本陣跡や帰り花  美智子

  秀作 

  一歩退き手に添ふ齢帰り花  篤子

  日の差して又影生るる帰り花  勝彦

  白川にきらめく明日帰り花  胡蝶 

  散り急ぐことの一途に還り花  研二

  灯油売りの声の往復帰り花  清次

  帰り花庭に彩り欲しき朝  靖子

  帰り花悲しきほどに咲き揃ひ  咲久子

  諸手揚ぐ巫女の埴輪や帰り花  惟之

  妻の忌の奥つ城みちや帰り花  和己

  宗旨替えしたきものあり帰り花  秀穂

  先代の僧正偲ぶ帰り花  博女

  滑り台の子らの見守る帰り花  陽子

  時流には迎合せぬこと帰り花  円町

  庭師来て指さす紅き帰り花  ひさ子

  観音の眼差しの先帰り花  恵子

  退院はこの押す車椅子帰り花  富治

  巡り来て垣につつじの帰り花  ともはる

  早早と母の残せし帰り花  敬子

  外に出で病む身に眩し帰り花  みどり

  目も凝らす水琴窟や帰り花  啓子  

      やまびこ(一月号作品から)感動・共鳴---私の好きな一句

  山あひに白き風湧く蕎麦の花  ひさ子

  老ゆるとは知恵を積むこと竹の春  杏花

  鰐口を打ちて白萩こぼしけり  啓子

  紫苑咲く頃母逝きぬ紫苑供華 惠弘

  長き夜の手持ち無沙汰よ肌衣縫う  惠弘

  廃渡り来て秋色に染まりけり  東音

  いつの日か故郷とはむ野紺菊  きぬ

  ラムネ抜くほんと昭和の音たてて  素岳

  今さらに気負ふことなしとろろ汁  懋

  徐行して電車川越す今日の月  近子

  月を待つピアノソナタを聞きながら  憲勝

  災害の泥引かぬまま夜の虫  鈴子

  木守柿終の住処に陽のあたり  陽子

  謎解きは不思議なままに星月夜  朋子

  枝豆やノートの端にある一句  爽見

  こおろぎに開け放たれし写経堂  素岳

  足のない案山子がかぶる三度笠  克彦

      俳誌 嵯峨野 三月号(通巻第584号)より

  

 

  

  

  

  

 

  

  

 

   


春の暁

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           夜明けの大津港(びわこホテルより)           

        古希と喜寿

   実南天挿して迎えし子の花瓶   惟之

   面長の男雛女雛や古雛

   古雛や五人囃子の目の円ら

   紙漉きて一目千本梅七分

   梅見して紙漉き体験腕まくる

   吊り上げの鱒を逃がせば悔しがり

   鱒落ちて針で指突く爺かな

   吊り上げの鱒は十二尾満足気

   鱒かぶる吾子を横目に父の顔

   炭焼きの鱒の身ほぐす箸捌き

   湖望み幾度も浸かる大根湯

   古希と喜寿祝ふ夜雨は春の鮨

   暁の春の湖黄金満つ

   春の夕顔赤らめて七並べ

   パンケーキ三つ四つ焼いて春の朝

   卵焼きくるりと巻いて春の皿

   金魚との別れを惜しむ餌遣りかな

   気遣ひのチョコとマスクに一句かな

   マーガレットまた逢ふ日までと七重八重

四月の詩(ゆりかもめ)

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                         赤いプラムとパン  F6  水彩 2010年              

      ゆりかもめ

 飛行雲にのってサンタは還るとや   惟之

 年の瀬や似顔掲げて歌ふ第九

 巫女の舞ふ里の神楽や笛鼓

 出港のデッキに群れるゆりかもめ

 雪囲終へて昇りぬ湯のけむり

     誌上句会 兼題「湯ざめ」

 特選

 吾子とゐて宇宙を語る湯ざめかな  三枝子

 あと一句封するまでの湯ざめかな  富治

 耳掻くや湯ざめの膝に子をのせて  ひさ子

 透きとほる波を見てゐる湯ざめかな  勝彦

 湯ざめして見えぬ会話の長電話  秀子

 秀句

 時忘れくくる名簿や湯ざめして  博女

 推敲の決まらぬ座五や湯ざめして  研二

 笑ひ声湯ざめを知らぬ孫子らや  美樹

 釘付けの逃亡ニュース湯ざめして  万智子

 湯ざめして今日振り返るボールペン  珠子

 星の下語り明かして湯ざめかな  胡蝶

 黙し読む子の絵日記や湯ざめして  みどり

 十時打つ柱時計や湯ざめして  紀久子

 迷路なる宿の廊下や湯ざめして  章代

 湯ざめして話も尽きず里帰り  加代子

 スターウォーズごっこに湯ざめ童どち  惟之

 久に逢ふ友と旅寝の湯ざめかな  篤子

 風音や湯ざめ案ずる夫は亡く  保子

 島の湯の星降る中の湯ざめかな  京子

 湯ざめして母の形見を羽織りけり  佳子

 町の灯のゆらぐ川面や湯ざめして  洋子

 湯ざめしてやうやくマウスオフにせり  秀穂

 新聞を深く読みゆく湯ざめかな  洋子

 メール受け湯冷めの覚悟の空見上ぐ  啓子

 湯ざめして推理小説終はりまで  信義

      やまびこ(二月号作新から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

 去り難き夕日の花野老ゆるとは  東音

 尼寺の仏小さし貴船菊  素岳

 ざわめいてゐそうで靜か芒原  喜美恵

 秋扇ひざにたたみて通夜の席  きぬ

 ねこじゃし雨はいやよと首をふる  きぬ

 杉箸に残る柚味噌の香りかな  勝彦

 郷の秋語り尽くせぬ父母のこと  勢津子

 湖底へとつづく村道鳥渡る  篤子

 ひとつづつ音を違へて木の実ふる  みどり

 杉玉の揺るる酒蔵秋澄めり  紀久子

 夫の臥す窓辺も照らせ眉の月  洋子

 ギター持つ案山子を囃す雀どち  良精

 棚田いま突つと火を噴く曼殊沙華  邦弘

 仲直りするか住まいか赤のまま  朋子

 温め酒老ひの正論孤立せり  廣平

 白糸の滝音さやに秋の声  龍策

 虫の音や父の人生語るとき  鈴枝

 鶏頭の頭小突いて下校の子  素岳

 雨戸繰る音にも毀れ金木犀  洋子

 草虱まみれ幼のかくれんぼ  久江

 コスモスや一人暮らしも少し馴れ  敏子

 古希と喜寿二人で祝ふ茸飯  惟之

 秋の歩や地図と磁石と万歩計  捨弘

 台詞なき菊人形の主人公  廣平

     俳誌嵯峨野 四月号(通巻第585号)より

 

 

 

 

 

 

 

 

花の径

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                瀬田川沿いの花の径

   花曇ぐるり散歩の瀬田の川   惟之

   松の芯確と伸びゐし湖の浜

   花の下父と母ゆく前うしろ

   絵画展は中止ばかりや花くもり

   膳所城の門は神社へ養家天

   校門は開け放たれてマーガレット

   川の辺の見張りは親よ春の鴨

  

   さんぽ道の道標と唐橋

 

   「粟津の晴嵐」の石碑と松林

 

  松の芯

 

  膳所公園の桜

 

 

  花の下ゆく家族の列

 

   膳所神社と桜花

 

   絵画展の案内版

 

  マーガレット(大津市立粟津中学校)

 

   唐橋東詰と桜花

 

  瀬田川沿いの鴨一家(1)

 

  瀬田川沿いの鴨一家(2)

 

 

 

連翹

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              連翹(京都植物園)6F

  連翹の「翹」は枝がすくすくと伸びて花をつけている形を鳥の長い尾にたとえたものといわれている。枝が地に届くと、そこから根を出す。半蔓性の長い枝先まで、むせるような鮮やかな黄色い花をつけている様子は春の象徴のような勢いがある。花が盛りを過ぎる頃から小さな葉が萌えだす(岩淵喜代子)。角川俳句歳時記より。

  連翹の一枝円を描きたり   高浜虚子

  連翹や真間の里びと垣を結ばず  水原秋櫻子

  連翹の綱をほどけば八方に  山口青頓

  行き過ぎて尚連翹の花明り  中村汀女

  連翹や雨の堅田の蓮如みち  星野麥丘人

  連翹の黄に触れ胎の子が動く  樟 豊

  連翹の黄にもあれなむヴァンゴッポ  惟之  

五月の詩(飾り凧)

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                            助六の飾り凧 8号 水彩

     飾り凧

 鰤さく筑紫の里や大旦  惟之

 鶴の橋亀の橋あり京の春

 人集る日吉大社の猿廻し

 助六の目尻いな背や飾り凧

 初場所や大関去なし小兵勝つ

    誌上句会 兼題「冴返る」

 特選

 琴線をはしる指先冴返る  研二

 冴返る草鞋の僧の比叡道  静風

 冴返る石工の打てる鏨の音  和男

 冴返る旅客機都心を舐めるごと  章代

 冴返る波のきらめく須磨の浦  みどり

 秀作

 添削の主筆数多や冴返る  まこと

 冴返る夕日の沈む京都御所  美智子

 再診の部厚きカルテ冴返る  三枝子

 カリヨンの音冴返るマリア像  胡蝶

 永平寺の長き回廊冴返る  基雲

 ふるさとの古刹への道冴え返る  真喜子

 香煙にかざす両手や冴え返る  信義

 冴え返る外出いとはぬ姉妹  珠子

 あけがらすに廊の軋みや冴返る  秀子

 冴返る移転を重ね九輪塔  啓子

 冴返る会釈そこそこ別れをり  須美子

 天を突くメタセコイアや冴返る  佳子

 閂の音山門に冴返る  保子

 雨上がる甍の光り冴返る  テル

 靄はれて山麓の里冴返る  翠

 天窓の月冴返る午前二時  恵子

 深山の黙より水音冴返る  咲久子

 汲み置きの水に灯の影冴返る  洋子

 晴天に鳶の輪高し冴返る  美枝

     やまびこ(三月号の作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

 相輪へ飛行機雲や小春空  恵子

 残り菊曲がれるままに活けにけり  惠弘

 小春日や卒寿の母の針しごと  鈴枝

 菜を洗ふ水の固さや今朝の冬  咲久子

 母の忌の母と語らふ小春かな  龍策

 下り鮎跳ねて山国静まりぬ  東音

 枯蓮に暮色うながす風の来て  鈴枝

 鮟鱇の口ほどもなく吊られけり  勝彦

 みほとりに出合と別れ冬すみれ  梅子

 古民家の空の広さや柿日和  珠子

 首里城の崩れ落ちたる神の留守  利里子

 天災に農継ぐ岐路を案ず秋  敏乃

 晩年へゆっくり歩む石蕗の花  静風

 このごろの母の背中や秋深し  隆子

    俳誌嵯峨野 五月号(通巻第586号)より

 

 

 

 

 

 

  

沖島港

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                沖島港(近江八幡市) F6 水彩

  2016年に写生会で訪れた沖島を再掲しました。びわ湖に浮かぶ、竹生島、多景島、沖島で唯一人が生活しているのは沖島。居住者は300人あまりで、移動は徒歩と三輪車。信号もない。遠足の子らがいた奥津神社や鮒ずしの倉庫、貝殻の軒下の道が懐かしい、機会を見つけまた訪れたい。

  桟橋は猫の居場所よ秋日和    惟之

  軒下の神への道や秋桜

  軒下は貝殻の道秋の昼

  船陰に猫の居眠り秋の午后

  さよならと子等と声掛け秋の船

  奥津島の絵馬に差しゐる秋日かな

  犇めける屋根より望む湖の秋

  弁財天の足元揺らす矢車草

  鮒ずしの樽はいくつも並びゐて

  霊仙山は入江の向かふ秋霞

  

竹生島遠景

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             竹生島遠景(長浜市) 6号 水彩

 湖北野鳥センターの湖岸からの竹生島。夕陽を背にした景観は奥琵琶湖代表的なカメラスポットといわれる。水鳥の風景には出会えなかったが、竹生島遠景は琵琶湖八景にも選定されているとおり美しい。

 竹生島には、724年に聖武天皇の命に行基が建立したといわれる宝厳寺があり、さらに奥に進むと420年に雄略天皇の命により建立された、日本三大弁才天のひとつに数えらている竹生島神社がある。このように竹生島は古来より人々の信仰の対象であり、弁才天が琵琶が琵琶湖の名前の由来と伝えられている。ちなみに琵琶湖と呼ばれるようになったのは江戸時代以降で、古くは近淡湖(ちかつあわうみ)、淡海の湖(あふみのうみ)、鳰海(におのうみ)などと呼ばれていた。(琵琶湖・淀川 里の川をめぐる<総集編>平成28年3月より)

   弁才天の琵琶が由来よ鳰の海  惟之


六月の詩(牡丹の芽)

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                             酒蔵と十石舟(京都・宇治) 6号 水彩

         牡丹の芽

  氷原や砂蟕長長と国境へ   惟之

  逞しく土突き上げて牡丹の芽

  暁や魞挿す舟に影ふたつ

  春寒し母の憂ひに大泣く子

  入学を揃うて祝ふ孫三人

     誌上句会 兼題「東風」

  特選

  東風に乗り仏師のみ魂下り来る  博女

  眠る児のくるみ引き上げ桜東風  美樹

  朝東風や海へとつづく町が好き  京子

  桜東風休校続く小学校  保子

  秀句

  桜東風石山寺の川そよぎ  惟之

  垂り尾の光る神鶏桜東風  珠子

  朝東風を道連れにしてペダル踏む  惠子

  夕東風や連絡船は沖を差し  みどり

  朝東風や嘶く都井の野生馬  克彦

  強東風や農機具手入れの老いの黙  和男

  朝東風や孫の運転頼もしき  佳子

  梅東風や托鉢僧の帰る寺  勝彦

  荒東風や岩礁に立つ日蓮像  研二

  梅東風の丘に展ける相模湾  美智子

  東風よ吹け太宰府めざし今日も吹け  万智子

  強東風の波や初鳥踏ん張りぬ  啓子

  強東風や敗者の涙美しき  まこと

  朝東風や火入れの窯に清酒添へ  胡蝶

  強東風や目に浮く父の頬かぶり  靜風

  朝東風や沖に巨船の銀の影  翠

  吉野山の一目千本桜東風  初枝

  夕東風や金星凛と瞬きぬ  章代

  半身の馬の絶筆桜東風  秀穂

  強東風やセット仕立のみだれ髪  テル

     やまびこ(四月号作品から)私の好きな一句

  振り向かず応へてゐたり紙漉女  爽風 

  浮かび出る駄句を沈めて冬至風呂  布美子

  湯豆腐や裏は怒涛の日本海  基雲

  句を記す薬袋や冬のバス  睦美

  耳元を音なく過る雪蛍  志津

  幸せな母の横顔毛糸編む  鈴枝

  布団干す心に母の来てゐたり  勝彦

  わが町の川の流れも十二月  勝彦

  誰彼の励まし嬉し実万両  道子

  緒の緩き宿下駄鳴りぬ寒夜かな  素岳

  妹山よ背山よ眠れわが在も  憲勝

  山茶花や角を曲がればカレーの香  裕司

     俳誌 嵯峨野 六月号(第587号)より 

 

      

  

    

阿弥陀河原(田上山ハイキング)

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                   野いばら

梅雨晴間の6月10日、コロナ禍で中止となっていました山歩きをしました。迎不動までの天神川沿いの登りは、自宅から自転車で40分。行々子が遠くに聞こえて気持ちいい。迎不動で駐輪。若水谷の杣道を登る。笹百合、卯の花、野ばら、吸かづら、さねかづら、定家かづら、さるとりいばらなどの初夏の花が咲いていました、記念の森の近くでは蛍袋(釣鐘草)のような花にも出会いました。

自宅ーアルプス登山口ー迎不動ー若水谷ー迎不動寺堰堤ー鎧堰堤ー阿弥陀河原ー淀川百年記念の森ー林道ー迎不動ーアルプス登山口ー自宅

  行々子遠くに聞こえ息弾む   惟之

  笹百合の一輪ひそと杣の道

  二筋の静かな滝や若女谷

  初夏や細き雁皮の樹皮の強

  初夏や禿たる山で昼食す

  比叡比良望む山上梅雨晴間

  林道や共に吸ひゐて吸かづら

  野いばらの清らに咲ひて杣くだる

  珠つまみ投げてさるとりいばらかな

  名を知らば定家かづらの気品かな    

                若女谷

             迎不動(新鎧)堰堤

             和紙の原料になる雁皮

                                       静かな二筋の滝壺(若女谷)

               鎧堰堤近くの道標

 

                笹百合

                                                         鎧堰堤

                  阿弥陀河原

               山歩湖会の全員集合

                  蛍袋のような花

          未植林地の山上で昼食          

               さるとりいばら

                吸かずら

                 ていかかづら(定家葛)

              

 

 

 

 

七月の詩(菜の花)

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                                                              新緑の八幡堀  8号 水彩                                    

        菜の花

  眼の優しセラピー犬やミモザ咲く  惟之

  蛤の砂を吐かせば出ず稚蟹

  春場所の八艘飛びや無観客

  石山の即位吉礼ご開帳

  菜の花やドクターイエロー疾走す

     誌上句会 兼題「蝶」 

  特選

  菜の花のちぎれた黄蝶生まれけり  まこと

  黄蝶ゆく小野妹子の古墳径     惟之

  蝶蝶や眼下に空母ワシントン    富治

  初蝶や姉とハモりしわらべ歌    靖子

  雨あめの烏城の凜と紋白蝶     京子

  秀句

  木道は風湧くところ蝶の昼     篤子

  光明をまとひ初蝶舞ひ来たり    洋子

  平和なる空を自在に蝶の舞     博女

  蝶の飛ぶ光の中の柿田川      珠子

  白蝶の飛び立つ風や空青し     克彦

  浅間晴れ野川に蝶を追ふ日かな   山女魚

  紋白蝶五浦の海の碧の上      章代

  風と来て風と去り行くしじみ蝶   三枝子

  初蝶やビロード並ぶ異人館     京子

  まなかひを舞つて初蝶森影へ    祐枝女

  初蝶や空の青さに見失ふ      和男

  生まれし蝶柔らかき翅もて庭立ちぬ 喜志子

  初蝶やきのふと違ふ空の色     美樹

  摩崖仏蝶もつれては放れては    紀久子

  蝶追つて不思議の国を尋ねんか   洋子

  心待ちゐる初蝶や昼下がり     陽子

  病身と思へぬ夫や畑の蝶      里子

  指先に蝶の残像描きとめん     啓子

  初蝶来田淵行男の蝶ヶ岳      秀穂

  なだらかと言えど崖なり蝶の昼   ひさ子

      やまびこ(五月号作品から)感銘・共鳴ーーー私の好きな一句

  嫁の名の箸紙一つ増えにけり    勝彦

  縫初や針はひかり掬ひをり     ひさ女

  余罪ありさうな貌して寒鴉     素岳

  戦争を知りたる人の逝く寒さ    爽見

  振り出しに戻れるものに絵双六   方城

  末吉もあなた次第と初みくじ    布美子

  さりげなく癌と言われて冬の薔薇  志津

  見綺麗に生きたく思ふ寒つばき   梅子

  初暦繰る晩節をといふ未来     篤子

  さつきからきてと言ふだけ炬燵守  方城

  雑炊を馳走と思ふ世の平和     敦子

  膝に来て嬰の瞳の御慶かな     そよ女

  八十路には八十路の力鍬始     節子

  年賀状五十回もの会ひたいね    史子

  初風呂に心の皺を伸ばしをり    美幸

  読初や汀女句集のセピア色     惠

      俳誌 嵯峨野 七月号(通巻第588号)より                 

  

       

中山道守山宿ハイキング

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                 慈眼寺(穂柱観音)

  梅雨晴れの半日、仲間8人で中山道守山宿の散策を楽しみました。コースは「中山道守山宿ぶらりマップ」を参照に街道歩きのベテラン Iさんに案内いただきました。慈眼寺では秘仏の帆柱観音と薬師三尊をゆっくり拝見することができ、講話をうかがう幸運に恵まれました。ほたる通りで駅への帰り道にほたる地蔵に巡り会えました。夜ならきっと蛍が飛び交っていたことと思いながらーーー。                              一の橋二の橋ほたるふぶきけり 黒田杏子    

JR守山駅ー勝部神社ー十王寺ー一里塚ー本像寺ー土橋ー東門院ー本陣跡ー町屋うの屋ー慈眼寺ーほたる地蔵ーJR守山駅

   街道へ鎮守の杜や椎の花    惟之

   息災を祈り茅の輪を二度三度

   七夕の陶絵踏みゐて焔魔堂へ

   死者裁く閻魔大王十王寺(無季)

   一里塚の榎高々梅雨青し

          ひな菊を水辺に挿せば石仏

   今宿のハイビスカスの白きかな

   元総理の生家うの屋や梅雨じめり

   慈眼寺の帆柱観音濃紫陽花

   ほたる地蔵へ流れ の きらら蛉生る

   三蜜をついつい忘れビール酌む  

   鎮守の杜(勝部神社)

  勝部神社本殿に向く茅の輪(勝部町)

       街道へ鱗のきらら鯉幟  

  天の川を挟んで会う牽牛と織姫の陶板絵

  閻魔像が祀られている十王寺へ(焔魔堂町)

小野妹子の子孫、小野篁(おののたかむら)作と伝わる閻魔像が安置されている十王寺堂

   死者裁く十王像  上段左の閻魔王は五十七日を受け持つ

     中山道の 焔魔堂町の交差点 一里塚220m、本像寺630m、東門院860

    今里の一里塚   江戸から約127里   二代目の榎

   日蓮宗の古刹 本像寺

  雛菊と石仏(メンバーの一人が駆け寄った)

  軒下の影が限りなくつづく

   樹下神社

 

  

   樹下神社の常夜灯 天保二年(1831年)建立

   東門院(比叡山東門院守山寺)江戸時代に朝鮮通信使の宿にもなった

   東門院本堂

中山道道標(右中山道 美濃路 左錦織寺 このはまみち)1744年建立

     本陣跡 左は井戸跡 本陣には皇女和宮はじめ数々の歴史上の人物が宿泊

  中山道の由来(天満宮前)

 

  煎茶屋かたかたや 

    町屋うの屋(元内閣総理大臣に就任した宇野宗佑の生家)

  町屋うの屋の中庭へ小休止

  帆柱観音(慈眼寺)の由来       本尊の穂柱観音は、最澄が中国で修行後、帰国途中海難に遭遇、沈没寸前に観音様に導かれ無事帰国した後、折れた帆柱に観音様を刻み安置したと伝えられる          

   慈眼寺入口 

   ほたる地蔵(金森川)

   ほたる通り商店街の電柱にとまる大ほたる 

 

  

 

 

八月の詩(リラの花)

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               神戸ドック F6水彩

      リラの花

  春キャベツ畑に列なし遠伊吹   惟之

  鞍馬山またまた出会ふ蝮草

  花冷やパンデミックなる言葉

  句会なき空へ香りを放つリラ

  おさがりを着てゐる幼リラの花

      誌上句会 兼題「夏野」

  特選

  草花の名に釣られゆく夏野かな  ひさ子

  気ままなる又三郎の風夏野    恵子

  野辺山に憩ひし軍馬夏野原    翠

  ひよつこりと野武士出さうな夏野かな   円町

  少年の夏野の中の秘密基地    捨弘

  秀作

  寝転べば地球の回る夏野かな   富治

  指切りの少女かけ出す夏野かな  みどり

  一本の道おれてゐる夏野かな   勝彦

  合宿の夏野の先は富士裾野    仙命

  大夏野姉は一世を里暮らし    珠子

  岬馬の親子くつろぐ夏野かな   基雲

  夏野来てカウベルの音のすがすがし   篤子

  帰省路の鉄路まぶしき夏野かな  稔

  五月野や鳥の親子の口移し    美樹

  夏野来て花の名を知る一日かな  万智子

  誰がつけし夏野に細き隠れ道   啓子

  靄流れ池塘の浮かぶ夏野かな   喜志子

  牧牛の乳房豊かや大夏野     三枝子

  木道の果て人と会ふ夏野かな   山女魚

  朝風や夏野の先の青き海     京子

  名の知らぬ花を摘み摘みゆく夏野 靖子

  レストランの窓に開ける大夏野  和男

  久方の孫と半日夏野ゆく     保子

  夏野原かきねは今も駆けてをり  研二

  鈴の音の仔馬の列や夏野道    須美子

     やまびこ(六月号の作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

  取りこはす生家に春の日淡く   優江

  如月の風やひとりを生きてゆく  洋子

  幼子の片言ふえて雛あられ    まり

  喪帰りや乗らふらここひとゆすり  慶子

  豆撒やもしや最後の年男     龍策

  祈願する子らにさきがけ梅ひらく  靖子

  夕東風や明治を今に根津谷中   東音

  春めくや白き煙の登り窯     喜志子

  故郷はほどよきところ無し梅二月  道子

  絹の道遥か来し眼の春の鹿    怜

  父の忌や父の鍬もて耕せり    怜

  野梅咲き山に二の沢三の沢    みどり

  一滴の墨のひろがり寒の明    布美子

  春近し歩道にひびくハイヒール  利里子

  日に透けて松葉しとねに節分草  啓子

  野にあれば野の色映すシャボン玉  隆子

  うぐいすや懐紙に残る薄緑    美幸

  陽をこぼす今日から春の雲となり  龍策

  鳩が飛び雀が飛んで春の空    志津

  病室の窓いっぱいに春の雨    志津

  水の面にさまよふ影やねこ柳   きぬ

  薄氷や夕陽をのせてしばらくを  爽見

  地酒酌み近江に焼し初諸子    素岳

  軽き嘘の一つや二つ蕪汁     隆を

      俳誌 嵯峨野 八月号(通巻第589巻)より

      

  

  

第16回湖水会水彩画作品展のご案内

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  第16回湖水会水彩画作品展を下記のとおり開催いたします。

 ご高覧いただきますようご案内申し上げます。

 日時:2020年9月1日(火)~6日(日)

    AM10:00~PM4:00

    但し、初日は12:00~

 場所:大津市生涯学習センター ギャラリー(1F)

    大津市本丸町6番50号 TEL077-527-0025

    京阪石坂線「膳所本町」下車 湖岸方面へ徒歩5分

 

 

      

赤い四阿のある森

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           赤い四阿のある風景(栗東自然観察の森)  8号水彩 

第16回湖水会水彩画展に出展予定の作品。写生会(2019年6月)を思い出しながら色を重ねました。

  あづまやの屋根あかあかと緑さす  惟之

  青蘆の日照りを返すカエル池

  緑陰に木道つづく写生会

  竹林へ清く波打つ夏の菊

  笹百合の小さく揺れてさざれ岩

  ひつじ草花も付けずに日を照らす


レガッタ

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              保津川下り乗船場 8号 水彩

     レガッタ

 囀りは杜の奏でるアリアかな   惟之

 落日に染まる比叡や麦青む

 松の芯一尺伸びて雨上がる

 レガッタの声も消えたりみづき咲く 

 休校の門は開けられ白牡丹

    誌上句会 兼題「新樹」

 特選

 約束は蛤御門新樹光   胡蝶

 古墳群装ふ新樹吉備の国   つとむ

 新樹陰絵本開けて読み聞かせ   眞喜子

 妖精の隠れをりさう新樹光   里子

 鎮まりて新樹の風の金色堂   須美子

 秀作

 渡月橋渡る先へと新樹風   円町

 新樹光島へ五分のいろは丸   京子

 天守閣望む大路の新樹かな   美樹

 路線バス深き新樹の影に待つ  篤子

 書に倦みてしばし佇む庭新樹  靖子

 芸大の門まで続く新樹かな   美智子

 江ノ電のカーブの先も新樹かな 京子

 風鐸の音色は風に新樹光    啓子

 免許返上帰路は新樹の影踏んで 章代

 一湾に浮く猿島の新樹かな   基雲

 新樹光三つの御代を越えて来し 静風

 信濃路は白樺並ぶ新樹光    ともはる

 打ち並ぶ観光バスや新樹光   秀穂

 捨てがたき過疎のふる里新樹光 三枝子

 新樹光準備整ふ能舞台     富治

 故郷へ帰る山路新樹光     紀久子

 新樹蔭光差し入るカッパ渕   山女魚

 二の丸の空堀跡や新樹蔭    恵子

 登校の歌声つづく新樹風    みどり

 仰ぎ見る塔も新樹も耀うて   翠

      やまびこ(七月号作品から)感銘・感動ーー私の好きな一句

 風の声水の声聞く座禅草     素岳 

 ふるさとへ長き鉄橋雪解川    東音

 手のひらに色も軽きや雛あられ  鈴子

 おひなさま連れて病室変はりけり 志津

 米寿来て菜の花のごと老いにけり 紀久子

 干されつつ片目は海を恋ふ蝶   廣平

 古里の野山輝く春の夢      志津

 繰り返す母の小言のあたたかし  優江

 山笑ふ抱く獣をゆり起こし    きぬ

 土筆摘む地のぬくもりを両膝に  鈴枝

 菜を洗ふ指の先より春兆す    梅子

 井戸を掘り水路を拓き鳥雲に   怜

 春の雨涙の訳は聞かずまま    方城

 春の月呼べば答えてくれさうな  テル

 不器用な人付き合いや麦を踏む  小鈴

 笑顔よきバイクの尼僧春疾風   アイ子

 電球を睨む目刺や煙り中     文夫

 土割つて寸の影おく蕗のたう   素岳

 哀しみはルオーのピエロ春灯   怜

 マスクしてマスクの人と挨拶す  照子

    俳誌 嵯峨野 九月号(通巻第590巻)より   

 

     

 

 

東海道草津宿漫歩

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              旧街道風景(草津川跡地公園ガード下にて)

中山道守山宿コースにつづき、8/22(土)仲間7人と旧東海道の野路の玉川・草津宿コースの約5kmを漫歩。道潅の蔵では「渡船」の名の純米酒を試飲、そして昼食は草津駅近くのレストランで格安の定食を三蜜を避けて美味しくいただきました。身近な処に萩の名所や清宗塚があり、街道歩きの面白さを知りました。次は水口方面の街道散歩と決まりました。

   JR南草津駅ー野路の玉川(萩の玉川)-平清宗塚ー草津川ー立木神社ー道潅の蔵ー草津宿本陣ーJR草津駅

  ゆめうつつ野路の玉川萩の波   惟之

  五輪塔十七歳の斬首なり(無季)

  遠山の河原に群れるすすき原

  雌雄ゐる立木神社の神の鹿

  道潅の馬上の雄姿麹の香(無季)  

 

野路の玉川。野路は平安時代から全国的に歌所として知られ、多くの歌人や俳人によって歌われている。<あすもこん 野路の玉川萩こえて 色なる波に 月やとりけり  源 俊輔(千載和歌集)>   

  

   民家の塀上の五輪塔

 

 清宗塚の案内版。壇ノ浦の戦いに源義経に敗れた平清宗は京都へ上る途中の本地で斬首された。

 

   五輪塔のある民家の大樹(樹齢100年の榎とか)

 

 

   草津川の流れとかすかな遠山の比叡山

 

  草津川大橋をわたる

 

  立木神社に入る

 

  立木神社ご神木

 

 

   牝鹿の青銅像

 

   牡鹿の青銅像

   

   道潅の蔵

  

    道潅の蔵(2階)

 

    草津宿本陣

東海道五十三次 水口宿漫歩

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           水上城跡の秋 水彩 F6 2010

 9月18日、好天の秋空のもと仲間8人で旧東海道水口宿の街道歩きをしました。現代版 東海道五十三次 水口宿絵地図を片手に約5kmばかり。水口城跡を過ぎて、すぐ、広重の浮世絵に出遭い、街道蔵で濁り酒の試飲。百軒長屋跡や交流会館へ。会館では、幸運にも河内町の曳山を紹介いただきました。城下町である水口宿の街道歩きを満喫、水口神社にお礼をして、水口城南駅へ向かいました。

貴生川駅ー水口城南駅ー水口城跡ー広重の浮世絵ー西見付ー街道蔵 美富久酒蔵ー妙沾寺ー五十鈴神社ー百軒長屋跡ー水口石ー天神町ー北町ー交流会館ー河内町ー石橋ー水口神社ー水口城南駅

   水口の干瓢干し女(め)の仕草かな  惟之

   街道の吊り灯籠や秋高し   

   京口と呼ばれし見つけ秋日和

   漢の酒ひと口含みほろとなり(無季)

   百日紅あかあか咲きて妙沾寺

   いぬわしの高き神木つくつくし

   歩が止まる槇の木の実はぽつぽつと

   行き交ひの人に会わずも秋桜

   古城山遠くに聳え秋日和

   郭内を確と監する与力窓(無季)

   街道に碁会所ありて忍草

   曳山の祭囃子に話の弾む 

   大車輪祭囃子にゆるぎなし

   花の名を忘れてをりぬ百日草 

   十年の歳月流れ秋の城 

 

 貴生川駅で近江鉄道に乗り換えの時間待ち。

 水口城南駅で下車

水口城跡。1585年、徳川家光が上洛の際の宿城として築城された。別名「碧水城」。2010年に写生会で描いた懐かしい城でもある。

歌川広重の東海道五十三次の一枚。この作品は、干瓢を剥き、干している風景。街道沿いに50号くらいの大きさで掛けられていた。干瓢は水口の特産になっている。

西見付跡案内。水口宿の西の端に設けられたので「京口」と呼ばれた。

 美富久酒造。東海道五十三次・五十番目の宿場町として活躍した水口宿の老舗酒蔵。

店内では、濁り酒を試飲。とろりと辛口の漢の酒。一口で胃が熱くなった。

百日紅が咲いていた妙沾寺(みょうてんじ)。めずらしい屋根の形をしている。沾(てん)の字はうるおす、ぬらすなどの意味がある(新漢語林より)。

    

  一里塚跡

 五十鈴神社鳥居

 木の実を沢山つけた槇の木。思わずパチリと歩み寄る。

百軒長屋には、下級武士が隣りあって住んでいた。高窓からは「与力窓」といって藩邸を防御する役目を担っていたらしい。

 百軒長屋近郊

水口石 (力石)。江戸時代から知られた大石で、浮世絵絵師の錦絵にも描かれた由来の石。

街道沿いに「曳山のあるまち」として吊り灯籠のが掲げられている。夜道を歩いてみたい。

東小坂町の長い軒下がつづく。百軒長屋の面影を偲ばせてくれる。

東小坂町界隈 水口岡山城跡の古城山を前方に望む。水口岡山城は、天正13年(1585)築城された豊臣政権の要の城。関ケ原の戦いの後、廃城となる。

  碁苦楽快館(碁会所)

  天神町の民家と路地

  天神町曳山蔵

 

  街道に咲くコスモス

  水口交流会館

  河内町曳山蔵

 河内町の曳山。全幅3.04m、全長4.60m、全高5.40m、車径1.38

  河内町の曳山の車輪(車径1.38m)

  蔵内の大カボチャ。注連縄をつけて威勢がいい。

水口曳山の全16基。3基が5年ごとに曳かれる。水口曳山祭は4月19日(宵宮祭)、4月20日(例大祭)。

 

  からくり時計

  水口石橋駅近くの踏切

  百日草

  水口神社拝殿を望む。

 水口城南駅ホーム

 

   貴生川駅

 

 

 

 

 

 

 

 

10月の詩(花蜜柑)

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           大山崎山荘(京都府乙羽郡大山崎町) F8 水彩      

      花蜜柑

 初夏や鴉のねぐら高高と    惟之

 香を放つ密な葉裏に花蜜柑

 九輪草誌上句会に手向けらる

 蛇の子を小瓶に掲げ餌を問う子

 収束を祈り湖岸に大花火

        誌上句会 兼題「夜店」

 特選

 神の灯を借りて夜店の荷を開く  みどり

 景気見と父に連れられ夜店行く  富治

 旅先の南座夜店の焼き団子    啓子

 故郷の夜店幼に語り継ぐ     陽子

 たなごころ易者にさらす夜店かな 秀穂

 秀句

 夕映えに陶器投げ売り夜店の灯  ひさ子

 蜂の子を食す信濃の夜店かな   美智子

 知らぬ世に迷ひ入るやう夜店過ぐ 洋子

 気に入りの兵児帯の子ら立つ夜店 珠子

 はしゃぐ子の手を握りしめゆく夜店 靖子

 姉は買ひ妹迷ふ夜店かな     美樹

 腕白の覗くたこ焼き夜店の灯   和男

 夜店の灯照らす主の顔の彫り   秀子

 セルロイドの玩具ガスの香夜店の灯 喜志子

 神木の真下に夜店灯かりかな   篤子

 綿飴に昭和の灯る夜店かな    山女魚

 山麓の夜店の輪投げ人だかり   惟之

 綿菓子を舐めなめのぞく夜店かな 須美子

 夜店の灯郷愁誘ふあめ細工    胡蝶

 急かされて孫の供する夜店かな  佳子

 りんご飴売る夜店にも子ら集ひ  紀久子

 綿飴の列にわくわく夜店の灯   加代子

 水溜りに中止となりし夜店の灯  洋子

 台湾のエネルギー生む夜店街   詔義

 八角の香充つ台北の夜店    章代

     やまびこ(八月号作品から)感銘・共鳴ーー私のすきな一句

 桜湯に花の命の蘇り       啓子

 母の倍生きてはは恋ふ桜かな   近子

 紙風船吹きて心を膨らます    和子

 頬杖のぐらりと崩れ春の雨    睦美

 てのひらの落下は風に返しけり  美智子

 大空に大声あげて木木芽吹く   きぬ

 望郷の心果てなし春の山     道子

 筍を地の温みごと堀り出しぬ   素岳

 老農の日のある限り耕せり    三枝子

 父と児のうしろ姿や夕桜     山女魚

 久方の遅日のミシン軽きかな   保子

 かく小さき花種なれどきっと咲く 邦弘

 剥がすたび葉の音やはき春キャベツ 小鈴

 初つばめ急流の面をまつしぐら  弘子

 椀の蓋開けて木の葉の力かな   隆兵

 空の色変はりて春を呼び寄せる  和恵

 骨折に苦しんでをり碇草     志津

 売られ行く牛春泥を去る     たまき

     俳誌 嵯峨野 十月号(通巻第591号)より    

 

 

 

 

 

 

 

 

木之本宿街道漫歩

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            賤ケ岳の見える七本槍の酒蔵   F6  水彩

 木之本は、古くから栄えた宿場町。以前に写生会で訪れましたが、今回は街道歩きで再び訪問の機会に恵まれました。10月17日(土)、秋雨の中でしたが、新たに意冨布神社(いふらじんじゃ)での林立した鳥居、地蔵院での暗闇の戒壇巡り、そして特別展覧会での西国三十三ヶ所の観音像巡りなど新たに体験しました。また、木之本にも田上山があることを知りました。銘酒・北陸街道の蔵元、山路酒蔵では京都、松尾大社の護符が扉の横に貼られていて感動しました。駅前の四代目の福田屋の女将さんは大津市の平津出身で、我々7人が石山からのメンバーと知り、親しみを込めて、おでんやなべ焼きうどんを配膳。沢山の一升瓶の上には有名人の一筆がずらりと並び、浅井家の三姉妹を含む家系図が掛けられていました。

  JR木之駅ー一里塚近傍ー馬宿平四郎ー木之本牛馬市跡ー山路酒造ー意冨布良神社ー山路酒造ー地蔵院ー本陣薬局ー富田酒造ー白木屋ー北国街道と北国脇本陣との分岐ー札ノ辻ー地蔵坂ー福田屋ーふれあいステーションーJR木之本駅

   木之本に田上山あり秋桜   惟之

   古井戸の蓋を覗けば秋の水

   北国に鳥居林立初紅葉

   義仲の武運を祈る兜石(無季)

   木之本の牛馬市跡や秋しぐれ

   京の護符貼られし蔵や秋深む

   秋試飲北国街道なる冷やし

   山霧の緩りと流る賤ヶ岳

   銅鑼を打ちてそろりと闇の秋

   頭を強く打ちて戒壇出でる秋

   地蔵院特別展を巡る秋

   鐘楼の鐘は突けずに秋の雨

   軒下の杉玉しづか秋の午后

   街道の脇道岐阜へ秋時雨  

   福田屋の秋や浅井の三姉妹     

  JR木之本駅

 駅前に咲き乱れるコスモス

  木之本牛馬市跡

 馬宿平四郎宿前

 馬宿平四郎案内 山内一豊の名馬ゆかりの地

 山路酒造に訪問の予約。  この前に2時間ほど座って写生したことあり。

 古い頭痛歯痛と虫刺され薬の広告

 意譜布良神社鳥居

 境内の北側に林立の鳥居

    十二支の絵札まえにしておもしろ談義

 街道への脇道に大きな古井戸

 酒造りを始めいて480年余りの老舗 山路酒造

 試飲酒を頂く 「北陸街道」などの吟醸酒がずらりと並ぶ 

 仕込み蔵には松尾大社の護符が張られていた

 木之本地蔵院本堂

 

御戒壇巡りの幟がはためく

 銅鑼を叩いて戒壇巡り

 うっかり頭を打ち付けてしまいました。

  雨だれが激しく跳ね上がる本堂まえ

 木之本地蔵院の鐘楼

  木之本宿の通行手形

 浅田飴、胃薬そして梅毒の看板がみられる本陣薬局 

 木之本宿の名前の由来が書かれた絵巻 

 街道からは薄雲のかかる賤ヶ岳

 銘酒「七本槍」の蔵元、富田酒造の杉玉

 七本槍づらりと並び試飲かな

  賤ヶ岳を望む富田酒造路地 数年まえ、ここから写生をしました。

  明治天皇のご巡幸のおり、岩倉具視が宿泊とある。

  街道沿いに見かけた田上山賤ヶ岳合戦秀長の陣の模型

 

 天保時代に建てられた白木屋醤油店 

 嘉永五年創業とある醤油屋 

 突き当りに地蔵院が見える地蔵坂

木之本駅前の福田屋。明治から四代目の女将は大津市平津出身とのこと。おでんやなべ焼きを頂き、次の電車までゆっくりする。

 田上山を見上げて木之本駅へ

 

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