東寺の春 8号 水彩
新年あけましておめでとうございます。
巳年の本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
萩の花
夕風のはらり紐解く萩の花 惟之
夜長かな名人戦の棋譜並べ
新蕎麦を未だ未だ食ぶる十五皿
法話聴く雪山童子秋の宵
被災地の軍艦島も良夜かな
誌上句会 兼題「紅葉」
特選
予後の試歩招く窓辺の紅葉かな 謙治
国宝の本殿のぞく紅葉寺 博女
打つ鼓静かに深し庭紅葉 秀子
露天湯に影揺らせつつ薄紅葉 ふみ女
秀逸
鐘の音に色深めゆく紅葉山 洋子
夕照の桜紅葉や瀬田の橋 惟之
紅葉散る貴船神社の水みくじ 正道
よみがへる御陣乗太鼓初紅葉 利里子
蹲の紅葉の色を掬ひをり 信義
鷗穴に集ふ魚達川紅葉 紀久子
己が色尽くして和する紅葉山 靖子
上海の友来伊香保に紅葉狩 歌蓮
入選
紅葉して湖に裾曳く近江富士 三枝子
銀山の五百羅漢に紅葉降る 光央
頂上を暮れ残したる紅葉山 まこと
しばらくは紅葉の中を独りかな 静風
里山の紅葉明かりや面打師 珠子
溺手の薄暗がりに蔦紅葉 幹雄
鎮もりし正倉院や夕紅葉 藤子
吊橋の雨後紅葉冴え渡る 稔
紅葉の燃えて沈みぬ廃寺かな 悦子
幾度もの八入りの雨に照る紅葉 秀輔
風を呼び光を返す紅葉かな 翠
薄紅葉ひとひら拾ひ栞とす 泰山
一片にかすかな温み初紅葉 洋子
丈六のみ仏に逢う紅葉晴 美代子
入日背に輝く紅葉鐘撞堂 啓子
尼寺の大樹の紅葉色深め 鈴子
紅葉の日照雨のなかの大伽藍 博光
初紅葉一筆書きの白き雲 文夫
門灯にはしる小雨や紅葉宿 東音
晩学の孤独愉しむ紅葉狩 みどり
やまびこ(十一月号作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句
炎天のわだつみを行く空母かな 勝彦
手になじむ父の形見の扇子かな 謙三
一日をビールの泡に収めけり 勝彦
丁寧に歳かさねたし桐の花 梅子
走り来し草原の香の夏帽子 優江
八月や核なき世界祈る日日 三枝子
被爆樹の加齢に倒れ広島忌 京子
片側は夏野大河の曲がり淵 清次
母の味父のやり方盆支度 あや子
老いて知る幸せもあり花菖蒲 静風
風鈴の音の向かうにスカイツリー 由紀
俳誌嵯峨野 一月号(通巻第642号)よち