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Channel: 水彩画と俳句の世界
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七月の詩(野水仙)

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                   沖島の瓦礫と錨(40号 水彩) 第26回 滋賀水彩展出展

         野水仙

妻と見しキエフバレエや春遠し  惟之

友のゐる墓見上げれば野水仙

百合植ゑて疫病しづもること祈る

幼子の諸手に溢る花の屑

山越えて桜蕊ふる通学路

   誌上句会 兼題「春雨}

特選

春雨に呟きのごと滴る木木  静風

春雨や山山色を重ねたる  篤子

久久に弾くピアノ曲春の雨  靖子

寺カフェの立て掛けメニュー春の雨  洋子

春雨の駅頭レシピ本を買ふ  美智子

秀作

春雨や竹の中なる京古刹  廣平

祇王寺の清盛像や春の雨  ともはる

子規庵のまだ開かぬ門春の雨  鈴子

黒塀の花街通り春の雨  三郎

春雨の静の涙の吉野山  須美子

水攻めの堰音軽し春の雨  みどり

山頂はけぶる城址初の雨  藤子

春雨の雲の抜けゆく畑の人  秀子

二人なら濡れてもみたき春の雨  泰山

橋脚に雨ニモマケズ春の雨  秀穂

春雨や池に広ごる五つつの輪  信義

春雨の鼓のリズムトタン屋根  文夫

春雨や民謡祭の幕が開く  珠子

春雨や夕日に沈む竹生島  惟之

松園の図録の重し春の雨  恵子

片袖を濡らして歩く春の雨  捨弘

春雨や明日は減れらし久の京  啓子

山を下りバス待つリュック春の雨  知恵子

春雨や蝶の羽には重たかる  万智子

春雨や話のはづむ友の得て  加代子

入選

春雨や絵本の旅を子と母と  博光

石庭の白砂に沈む春の雨  三枝子

蔵町の昼を静かに春の雨  和男

春雨に癒されてをり追悼会  博女

春雨や甍の光る城下町  咲久子

幼らの声弾む窓春の雨  翠

太鼓橋の反りゆるやかに春の雨  紀久子

春雨や夫の借りくる女傘  美代子

春の雨祖国追はるる人想ふ  洋子

春の雨止む気配なく煙りをり  まこと

竹林をつらぬく径や春の雨  孝明

春雨にぬれ隣家へ回覧板  祐枝女

春雨や陶の狸は傘もなく  胡蝶

小走りに無人駅へと春の雨  敏子

飛び石の静かに濡るる春の雨  陽子

日曜の午後や春雨音もなく  正和

我が呼ぶ母に覚めゆく春の雨  洋子

春雨の中容赦なき火事見舞ひ  稔

  やまびこ(五月号の作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

靴下買ひ寒卵買ひ母見舞ふ  知恵子

湯たんぽは母の遺品や膝に抱く  優江

透きとほる朝の静寂や梅ひらく  梅子

紅梅や朝の日ざしを呼びよせて  きぬ

寄せ飢ゑにひしめく幸や福寿草  鈴枝

寒林の中へ逃げゆく夕日かな  爽見

鴨川の瀬音枕に七日かな  悦子

初御空流浪の民の頭上にも  正弘

饒舌のはひふへほうの大根煮  小鈴

野良猫ののそと見廻る四温かな  秀子

しづり雪竹林すくと目覚めけり  翠

ウイルスへ虎の一喝年明くる  岳

若水の柄杓に掬ふ光かな  岳

  俳誌嵯峨野 七月号(通巻第612号)より  

 

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