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Channel: 水彩画と俳句の世界
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二月の詩(案山子)

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            保津峡乗船場(京都・亀岡) F8  水彩

         案山子

  初乗りの赤い自転車ばった跳ぶ   惟之

  すいすいとペダルを漕げてとんぼ飛ぶ

  創作の案山子の展や野菜畑

  山並や大河を照らす月明り

  焼討ちの四百五十忌月今宵

     誌上句会 兼題「酉の市」

  特選

  手拍子は指から掌へと酉の市   信義

  大熊手かつぐ御仁に道を開け   山女魚

  酔眼におかみ微笑む大熊手   和男

  時代劇の江戸っ子のごと酉の市  稔

  熊手持ち訪ね来る子ら茜空  翠

  秀作

  威勢よき声に始まる酉の市    基雲

  開運の熊手は言ひ値で決まりけり   章代

  コロナ禍もここは無縁や酉の市  捨弘

  歩行器をむんずと握り一の酉   文夫

  金平糖どの色も好き酉の市   京子

  柝の音に商売繁盛酉の市   秀穂

  煌々と裸電球三の酉    まこと

  酉の市小さき熊手にも手打ち   喜志子

  境内の人皆マスク一の酉   須美子

  干支八度巡る媼の酉の市   珠子

  酉の市小さき土産買ひ求む   紀久子

  三蜜に小声の拍手酉の市   加代子

  九十八を迎へる妣や一の酉   惟之

  どれほどの福取り込まん酉の市   咲久子

  一と二と三の酉市行く習ひ   三枝子

  二人来てはぐれて一人酉の市   富治

  三の酉ありて諾ふコロナ禍や   佳子

  コロナ禍に行けぬ行きたし酉の市  詔義

      やまびこ(一二月の作品から)感銘・共鳴ーー私の好きない一句

  この海の底に声あり終戦日   爽見

  蔵王詠み月山を詠み夏惜しむ   京子

  活けられて風を忘れる尾花かな   廣平

  亡き人に逢ひい行く道蝉時雨   優江

  原爆の日と思いつつ句座にあり   惠弘

  義理ひとつ欠かさぬ母や秋扇   鈴枝

  炎天へ一歩ためらふ己が影   素岳

  語部の声まで日焼けしてをりぬ   素岳

  雛の手を撫でて八月十五日   久子

  進まねばならぬ道あり木下闇   博女

  水吸うて吸うてここまで丸茄子   隆を

  蝉声の海に落ち入る御前崎   仙命

  あなたなら私に止まれ秋茜   洋子

  風鈴の色は褪せても音褪せず   繁子

  今生の命の叫び蝉の声    捨弘

     俳誌嵯峨野 二月号(通巻595号)より  

  

  

  

  


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