新緑の東寺(京都市南区九条町) 水彩8F
五月来る
次次と鱒釣り上げて歓喜の児 惟之
茶摘唄聞こゆ令和の札所道
沖島へ子らと石投げ五月来る
早稲田やふはりふはりと雲の浮く
ケロヨンに夏着重ぬる幼かな
誌上句会 兼題「紫陽花」または「サングラス」
サングラスかけると猫のよそよそし 三枝子
外してはならぬタモリのサングラス まこと
紫陽花に水車のしぶききららめく 洋子
サングラスかけて見ようかこの齢 祐枝女
紫陽花や僧の掃きゐる寺の庭 靜風
サングラスバス一駅を乗りこして 美枝
紫陽花やこんなところに郵便局 秀子
紫陽花やはたと途絶えし山の風 みどり
刺青の女ふたりやサングラス 仙命
サングラス今日は何処まで行くのやら 捨弘
紫陽花の色に始まる子の日記 敏子
サングラス鏡の前に置きしまま 千代
浜に来て流し目線のサングラス 喜志子
元気呼ぶメイク講座や七変化 惟之
紫陽花や百歳体操入会す 清子
山頂に立ちて外せるサングラス 篤子
サングラスすべきと眼医者宣はく 葵堂
サングラスかけておれと言ふ孫の声 敏子
ひょっとして私は悪女サングラス 睦美
サングラス娘強気に物を言ふ 京子
やまびこ(七月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句
玄関の小さな騒ぎ初燕 富治
土割って影を生みたる蕗の薹 素岳
木漏れ日は猩猩袴の少し横 志津
釣舟の動くともなき遅日かな 和子
野火守の視線を盗み焔立つ 素岳
言い出せぬまま八朔を剥いてをり 素岳
道問ひて道連れとなり紫木蓮 梅子
すみれ咲くまたねと言ったままの人 隆を
ふくらむは瀬音にもあり木の芽時 篤子
ゆらゆらと沈む一円水温む 千代
卵焼き少し冷えたる春の夕 豊子
掌に一度はのせて雛飾る 敏子
春愁や繰り返し読む遺言書 幹男
行乞の椀にあふるる春日かな 研二