立夏の白馬連山(F50水彩) 三浦武弘(大津市)
石山寺
梅の花毀れて聞こゆ鈴の音 惟之
薄紅梅式部の像に枝垂れけり
白梅の狭間は蒼よ瀬田の川
暮れかかる梅の枝伸びて月見亭
旗振れば琵琶湖マラソン春驟雨
誌上句会 兼題「山桜」または「雨(無季語」
娘の使ふ細身の傘や春の雨 三枝子
林道の目印なりし山桜 たかすけ
山ざくら遠くに見ても山桜 敦子
簪のごと頂上の山桜 まこと
これよりは坂の無き道山桜 洋子
高速の車窓楽しや山桜 よう子
磴上の空せばまりぬ山桜 みどり
雨を連れ寒のもどりや籠りをり 初枝
山桜孤高の一本雲流る 秀子
雨を恋ふ畑地帯や春嵐 奈緒世
法要の朝や突然春の雨 誠子
一寸まて散り急ぐなよ山桜 捨弘
被災地の復興いまだ花の雨 ひさ子
余生まだ夢ふくらます山桜 博女
遅咲きの御室桜は見ごろなり テル
花に雨根方に犬と宿りゐて 稔
古里の変わらぬ空や山桜 千代
菜種梅雨昔のコート探し出し 祐枝女
舞ひ散りて踏むもためらふ山桜 静風
今しがた西行をりし山桜 研二
のぼり来て思はぬ出会ひ山桜 靖子
午後の日を浴びて鳴禽山桜 秀穂
ほっこりと馬酔木咲く庭雨模様 佳子
旅先の朝の散歩や山桜 美枝
記念樹の疎水に添ひし山桜 惟之
山桜根は通学の路へ伸び 恵子
山桜よりの風受け菩薩像 咲久子
やまびこ(五月号作品から)感動・共鳴ー私の好きな一句
折れさうなこころ立てをり春隣 道子
月白く残る山の田初氷 東音
風花や児童の像は空を向く 志津
人日の水のやうなる家居かな 梅子
月凍てて一生といふ一刹那 由美
遺影にも湯気ほのぼのとなづな粥 美枝
隙間風我が家の仔細知り尽くす 素岳
湖尻より風を濡らして鴨翔てり 素岳
四方のまだ闇をはなさぬ初詣 素岳
煩悩と共に暮らして去年今年 久子
一村へ山野へ隔てなき初日 篤子
文楽に泣きに行くなり女正月 幸江
切干を黙して作る元教師 安恵
悴む手君の上着のポケットへ 朋子
富士晴れて一湾凪ぐや初景色 龍策
梅の香を聞きつつ一枝活けにけり 惠弘
大晦日いつものやうに第九聞く 和子
俳誌 嵯峨野 七月号(通巻576号)より