親と子の自然体験会(びわこ文化公園)
貴船路
ががと鳴く夜泣峠の青蛙 惟之
蛭降りて血染めとなりし山路かな
貴船路の深山に郡れし九厘草
千尋の谷へ木霊す不如帰
仁王門潜りて安堵のしゃがの花
誌上句会 兼題「燕の子」
特選5句
作務僧の箒に遊ぶ燕の子 珠子
子燕と交わすお早う医者通ひ 保子
子燕や無二生家を輝かす みどり
燕岳てふ山もあるぞよ燕の子 秀穂
燕の子生まれは那須の御用邸 須美子
秀句20句
下津井の潮の香りや燕の子 よう子
子燕の育つ湖畔の無人駅 基雲
水音の激しき堀や燕の子 信儀
燕の子まるまる健康優良児 泰行
客を待つ床屋の軒の燕の子 ひさ子
巣立ちゆく子燕比叡の青空へ 静風
子燕やからくり時計動き出す 清子
交番も楽しき我が家燕の子 佳子
本陣の深き軒先燕の子 京子
出棺を見送る軒の燕の子 幹男
子燕のたすがるるまでブーメラン 洋子
世継ぎなき生家の庇燕の子 篤子
独り居の姉に友あり燕の子 京子
子燕や越後獅子くる峡の里 仙命
三味の音や郡上の駅の燕の子 肇
海風の錆濃き軒や燕の子 奈緒世
子燕の飛び立つ朝の空青し 近子
口開き日の瞬かず燕の子 たかすけ
母を待つ家の遠きや燕の子 睦美
夢在って生きる世界の燕の子 一二朗
やまびこ(7月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句
分校を背負う一人の入学児 幹男
音もなき帰雁の空の深きかな 道子
どちらまでちょいとそこまで桃日和 素岳
卒業式タクト静かに置けれけり 久子
今年また花に会へしを幸とせむ 玲子
静寂に耐え切れずして椿落つ 素岳
白梅の一枝の余力活けにけり 久子
糸柳揺れて無言の別れかな 啓子
辛夷咲く真青な空をかくすほど 志津
わが余命数へてをれば亀鳴けり 勝彦
父眠るレイテ沖より春の雷 爽見
薄紙をとれば吐息や内裏雛 紀久子
呼べば陽のにほひを連れ来る子燕 節
俳誌 嵯峨野九月号(566号)より