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Channel: 水彩画と俳句の世界
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十一月の詩(蝉しぐれ)

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           乙女が池の太鼓橋(高島市勝野)

      蝉しぐれ

 近江富士見上げて匂ふ椎の花   惟之

 池底に影と動きし井守の掌

 万緑に見えつ隠れつ番鳥

 あの山とこの山競ふ蝉しぐれ

 木から木へ蝉飛び交うて子らの声

     誌上句会 兼題「草の花」

 微笑みの童地蔵や草の花     惟之

 草の花遙かに地平を風渡る    洋子

 行き帰る路傍の割れ目草の花   秀子

 草の花歩き出す影やはらかく   美枝

 踏まれてもまた立ち直り草の花  初枝

 草花の宝庫となりし河川かな   捨弘

 引き抜いてもまた草生える草の花 テル

     やまびこ(九月号の作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句)

 百僧の居て音もなし風薫る    恵弘

 夏帽子リボン違えて姉妹     敏子

 葉桜や予防注射になく子犬    満子

 薔薇園の少年となる白昼夢    龍策

 鯉幟小さな村のひとところ    志津

 山つつじ数え始めて止めにけり  紫魚

 そのことは忘れてゐたし更衣   勝彦

 豌豆の剝き実こぼしぬ案じごと  素岳

 嘘はうそ殻の透けたる蝸牛    素岳

 解く紐の長さ楽しむ笹ちまき   ひさ子

 ひとり湯の落してよりの蟇    みどり

 母の日の花束溢る墓前かな    久江

 昭和の日母の気品を懐かしむ   君代

 それぞれの小屋に山羊の名若葉風 弘子

 茶摘みしてかわいい笑みの八十路かな 孝子

 高原の風の一戸の鯉のぼり    盛美

 敷石の定家の塚に青時雨     洋子

 夕暮れの海を見に行く夏帽子   近子

 母の日や一つピアノに姉いもと  憲勝

 父逝くや里の田植えの終はるころ 照子

 父還る五月の空のその奥へ    照子

    俳誌 嵯峨野十一月号(通巻第556号)より   

 


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