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Channel: 水彩画と俳句の世界
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十一月の詩(千光寺)

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    湖北の百合園 三浦武弘

      千光寺

小倉山みどりに映へて川の音  惟之

葉隠や戸無瀬の滝のほそぼそと

緑蔭や大悲閣道ひと疎ら

保津川の緑蔭上る渡し舟

万緑へ鐘の一打や千光寺

  誌上句会 兼題「星月夜」

特選

アンデスに国境は無し星月夜  光央

信号の無き湯の街や星月夜  惟之

アイガーの北壁くらし星月夜  つとむ

ベドウィンの野営のテント星月夜  清次

無言館鉄扉の重し星月夜  泰山

星月夜自墳の水の音清し  安恵

秀作

星月夜午前二時なる屋根の上  治子

星月夜こころやさしくなりにけり  東音

バレエ教室の十周年や星月夜  加代子

テント場のリュックに座り星月夜  知恵子

老いと言ふ静けさにゐる星月夜  靜風

星月夜ジャズ流れ来る港町  鈴子

星月夜万葉仮名の母の文  翠

待つ人の下駄の音来る星月夜  珠子

蒙古船群がる沖や星月夜  まこと

山小屋に被さってくる星月夜  美代子

手を引かれ逃げる路地裏星月夜  富治

平和なる世なればこその星月夜  靖子

叡山の行者の道や星月夜  敏子

振り仰ぐふるさとの山星月夜  洋子

未だ少しこの世に未練星月夜  廣平

雨あとの山の端まで星月夜  三枝子

沖合の潮目定かや星月夜  藤子

雨戸繰る暫しを亡夫と星月夜  洋子

山小屋を出て一歩より星月夜  博光

入選

星月夜ドビッシイーのこぼれ落つ  ふみ女

両に寝て真夜のしづけさ星月夜  啓子

人影の明るき小路星月夜  信儀

星月夜夢の中でも逢えるかも  みどり

異郷とて母の呼ぶ声星月夜  謙治

表まで送られ仰ぐ星月夜  祐枝女

逝き人の笑顔の写真星月夜  博女

星月夜山に抱かれる盆地かな  文夫

賓客の無き月見楼星月夜  秀輔

親と子の星座探しや星月夜  秀子

小渕沢のペンション二階星月夜  歌蓮

星月夜はらからは南の前線に  三郎

島影の遠近見えて星月夜  紀久子

   やまびこ(九月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

日を水のごとくに湛え柿若葉  爽見

捨てきれぬものに埋もれて更衣  三枝子

百姓のまねして余生茄子を植う  秀子

米粒が星になる朝花南天  美和

まだ人手借りずに過ごし梅雨に入る  海男

万緑や長命といふ贈り物  梅子

母と子の母校は同じ桐の花  近子

源流に滴りといふ力かな  篤子

大声で泣く児の眩し子どもの日  桂子

宵宮や亡き妹とすれつがふ  雄彦

母の日や静かに崩すオムライス  幹男

   俳誌嵯峨野 十一月号(通巻628号)より

 


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