猿飛佐助のふる里 三雲城址 八畳岩(甲賀市三雲)
(落ちそうで落ちない受験生のホットスポット)
春一番
春一番続日本紀の読めぬ文字 惟之
手の平に独楽を廻して梅まつり
子が呉れし御守り札やつくづくし
卒園を祝ふ花束赤白黄
桜咲く疏水に母子地蔵かな
誌上句会 兼題「シャボン玉」
特選
人生は短し長しシャボン玉 信義
転校地の小さき庭やシャボン玉 知恵子
シャボン玉とどけ空までも 珠子
犬が逝き猫また逝きてシャボン玉 苗子
子の丈に屈みて吹けるしゃぼん玉 三枝子
大空へ声もはじけてシャボン玉 靖子
秀作
ふはふはと濁世に吹けるシャボン玉 鈴子
シャボン玉幼きままの友思ふ 靜風
清水の舞台で飛ばすシャボン玉 惟之
シャボン玉紅を包みてとばしけり 京子
憂きとばそシャボン玉とばそ空までも みどり
日を弾き風にはじかるシャボン玉 和男
海の色空の色へとシャボン玉 稔
妹は六歳違ひやシャボン玉 安恵
跳ねる子に歌ふ子泣く子シャボン玉 東音
庭先に猫も加はりシャボン玉 洋子
シャボン玉色極まつて弾けけり まこと
その中に映る子弾けシャボン玉 洋子
シャボン玉吹いて笑ふ子二歳の子 加代子
しゃぼん玉風に吹く子と駆け出す子 清次
シャボン玉同士がふれて消えにけり 美代子
シャンボン玉小さな願空に向け 美智子
入選
過ぎし日の浮かぶ煌めきシャボン玉 謙治
幼子の顔ふくらんでシャボン玉 文夫
ふつくらと未来託す子シャボン玉 啓子
シャボン玉遠き日のこと父母の顔 肇
シャボン玉飛べ飛べ遠くドローンまで 智代
無患子の水溶液のシャボン玉 秀輔
遠き日や液手つくりのシャボン玉 敏子
大中小どの子も笑顔シャボン玉 秀子
兄ちゃんの吹くシャボン玉追ひかけて 泰山
日盛りのストロー苦しむシャボン玉 博光
一つだけ高くあがつたシャボン玉 佑枝女
しゃぼん玉天に昇りて手を振りぬ 博女
シャボン玉追い駆ける子を母追ひて 紀久子
流れつつ色を変えけりシャボン玉 篤子
いつの日かこの夢宇宙シャボン玉 廣平
道化師の空掬ふ大シャボン玉 三郎
亡き人を偲びひと吹きシャボン玉 恵子
選者
残したるしやぼん玉吹く夕べかな 優江
やまびこ(五月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句
みちのくに不老不死の湯雁供養 怜
一病と和して戦ひ去年今年 爽見
蒼天へ透く蝋梅の香りけり 咲久子
霜柱踏むや地球の窪む音 征子
天井も床も明るき初仕事 優江
恵方へと一歩踏み出す母の杖 鈴枝
参道のこの真つ直ぐな寒さかな 勝彦
初旅の車窓に富士のはみ出しぬ 勢津子
七草や妻の真白き割烹着 怜
実朝の札は取りたき歌歌留多 仙命
獅子舞の口にやさしき目が覗く 清次
冬菊や美しきまま母逝きぬ 鈴子
一病を持ちて息災去年今年 ゆふし
多忙なる日ぞ懐かしき去年今年 秀子
痩せてなお心和ます雪だるま 睦美
くわりんとうみたいな字やね悴むて 節
ゆでたまごつるんと剥けて寒明ける 喜美江
雨音を集むる八つ手春兆す 征子
歌かるた子の指先に魔物ゐて 幸子
俳誌嵯峨野 七月号(通巻第624号)より