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Channel: 水彩画と俳句の世界
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一月の詩(ブラックアウト)

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                 二年坂(京都市東山)

     ブラックアウト

 走錨の船はをちこち台風裡   惟之

 聞きなれぬブラックアウト秋の闇

 倒木の目立ちし八瀬の初紅葉

 禅寺の蔵は石の戸曼殊沙華

 鳴き継ぎて千古の宮の法師蝉

    誌上句会 兼題「山粧ふ」

 特選

 山粧ふ明日香亀石眠らせて  洋子

 奥飛騨は好天五日山粧ふ  美智子

 回廊を登れば神苑山粧ふ  紀久子

 幾たびも久女通ひし山粧ふ  研二

 閑適に風雅に生きん山粧ふ  十二朗

 秀句

 頂は雲のベールや山粧ふ   京子

 山粧ふ山は動くと晶子の碑  秀穂

 山粧ふ朱鷺の里より米届く  近子

 北国の採炭跡や山粧ふ    基雲

 ダム放水山粧ふて応へけり  保子

 独り居を重ねし村や山粧ふ  敬子

 地震の跡隠して山の粧へり  ひさ子

 門跡寺の鐘の余韻や山粧ふ  初枝

 粧ふ山雲とどめては放ちては  篤子

 川下り粧ふ山を仰ぎつつ   靖子

 粧ひし山ゴンドラの影走る  幹男

 松姫の超へし陣馬山粧ふ   恵子

 同郷の二人の暮し山粧ふ   珠子

 山彦を返して山の粧へり   三枝子

 山粧ふ白川石の採堀場    胡蝶

 山粧ふ万国万来引き寄せて  奈緒世

 焼団子の名物店や山粧ふ   佳子

 山粧ふ温泉宿の迎え馬車   陽子

 合格通知粧ふ山の晴れ渡り  秀子

 夫と婿仲良く登る山粧ふ   京子

    やまびこ(十一号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句)

 いつまでも想い出を言ふ大文字   一雀

 鬼百合や時に微かな朝の風  志津

 ご詠歌の鈴の音揃ふ涼しさよ  惠弘

 炎天の影を脱ぎすてバスに乗る  素岳

 阿修羅像見つめる少女夏深し  敦子

 本当も嘘も半分半夏生    利里子

 日焼けして海の匂ひを持ち帰り  敏子

 入道雲我はほそぼそ生きてをり  志津

 暑き日やのら猫に水飲ませゐて  玲子

 句に遊び中寿の炎暑遣り過ごす   東音

 棟梁の枕は木端三尺寝    素岳

 月涼し歩のゆるやかな海の街   正弘

 仏像展の仏師も慈眼梅雨晴間   龍司

 鍋底に居るかと思ふ暑さかな   古奈

 来世なほ母と子であれ仏桑華   咲久子

 歩まねば安らぎ遠しかたつむり   幸子

 夕菅のひらけば風の生まれけり   照子

 何度でも叱られたくて水鉄砲   廣平

    俳誌 嵯峨野一月号(通巻第570号)より

 

 

 

 

  

 

 


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