正倉院の雛・模写(大津市坂本 旧竹林院にて)
万葉の里を彩る柿たわわ 惟之
さよならを子らと交わした島の秋
軒下は貝殻の道冬に入る
磨崖仏深山に御座す冬日中
冬の鳥群れ飛び変幻自在なり
余生まだ頼られをるや竜の玉 三枝子
竜の玉トルコブルーの色に似て 捨弘
巷の灯届かぬ辺り竜の玉 洋子
乳母車押しゆく路地に竜の玉 美枝
掌にこぼれ弾みし竜の玉 初枝
昔吾子のままごと遊び竜の玉 テル
竜のひげ大事に玉を育てをり 敏子
お手玉に遊びしことも竜の玉 みどり
庭手入覗き見してる竜の玉 秀子
探し物やうやう見出す竜の玉 睦美
今日一日生きて七十路竜の玉 惟之
誌上句会 兼題「竜の玉」
重陽や余生まだまだ楽しまむ 和子
みの虫の糸一すじの孤独かな 近子
何気なき優しさにふれ萩にふれ 東音
物干に正座してゐる雨蛙 海男
稲光なにも傷めず闇を刺す 素岳
丁寧に手術断り夏終わる 志津
月仰ぐ永代供養と決めし後 志津
秋の空赤とんぼには高すぎる 木理華
鰯雲けつてみごとな逆上がり 千代
思い出は咽せて吹き出す麦こがし アイ子
やまびこ 私の好きな一句
俳誌 嵯峨野 三月号(通巻第548号)より
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