かりがね地蔵のある大戸川、瀬田川合流付近(大津市黒津)
鉈彫の小さなほとけ春燈 惟之
朝日差す房の紫ゆらす虻
スーザフォーン湖岸に響く立夏かな
山麓の水田に映ゆる椎若葉
大蓼の花の波打つ舟乗り場
草笛の思ひ出多き少年期 捨弘
草笛を競いし頃を懐かしむ アイ子
生駒山みて草笛吹きし少年期 惟之
草笛の聞こゆ山手の介護園 美枝
畦道を草笛吹く子かけてゆく テル
草笛や弟ひとり兄ふたり 洋子
下校の子鳴らぬ草笛懸命に 初枝
草笛や草原抜ける風さやか 秀子
吹くも良し聴くもなお良し草の笛 幸子
俳誌嵯峨野 九月号(通巻542号)より