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Channel: 水彩画と俳句の世界
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10月の詩(風薫る)

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           保津川桟橋(亀岡)8号水彩 

   風薫る

俳人の墨画展なり風薫る  惟之

葉桜の下で腕立て息弾む

牡丹散る小袖小路に立ち入れず

蛍飛ぶ誓子の句碑や摂津峡

叡王戦破れ失冠五月闇

    誌上句会 兼題「西日」

特選

船の淦捨てて船屋も西日中  三枝子

絵ガラスのイエスを射抜く西日かな  光央

犬行に西日の斜光厨窓  稔

自転車通学の背や大西日  泰山

秀逸

靴脱いで足元さます大西日  博女

鍵っ子を母に返して大西日  康平

西日照り虚空に美しき津軽富士  藤子

湾染めて沈む西日に合唱す  靖子

西日濃し今は使わぬ納屋梯子  優江

西日さす部屋にサティのジムノペチィ  ふみ女

湯の宿へ西日を連れてバスの旅  洋子

入選

軽トラの祖父母見送る西日かな  謙治

対岸の人影燃ゆる大西日  洋子

できるだけ逃れて並ぶ大西日  悦子

西日から逃げ出し下宿三畳間  まこと

名店の列はとかざる大西日  球子

西日落ちさてこれからの畑仕事  秀子

打出しの櫓の太鼓大西日   幹雄

微笑みの摩崖仏なり大西日  惟之

岸壁を離るるフエリー大西日  利里子

大西日額かざして医院まで  祐枝女

壊すビル建てるビルありて高西日  征子

西日さし片カーテンや一輪車  敏子

目つむれば西日まなうら紅に焼く  秀輔

大西日豆手ぬぐいを干す出窓  啓子

西日さす音なく染まる法の庭  静風

少年の立ち漕ぐ背や西日濃し  翠

一筋の雲を茜に西日かな  紀久子

天守閣泰然自若大西日  鈴子

電車中眠りを覚ます西日かな  和夫

サイレンの西日の窓に読む季寄せ  文夫

湖割って一直線の大西日  三郎

こだはりのコーヒー豆や大西日  歌連 

地下道の出口を塞ぐ西日かな  博光

西日中出漁船の競ひけり  東音

カーテン越しに踊る光の西日部屋  倫子

まだ続く一本道の西日かな  美代子

    やまびこ(八月号作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

花冷えや児へ補聴器あたためて  博女

いつまでも若い気でゐるチュウリップ  梅子

電線に楽譜めきたるつばくらめ  治子

さくらさくらいつもの橋を渡りけり  勝彦

卒寿なる未踏の世界桜東風  爽見

病むことを知らぬ金魚が餌ねだる  海男

春寒や我を励ます我とゐて  隆を

水駅の跡や桜のカフェテラス 清次

花吹雪あなたを止めるすべもなく  布美子

波が組み流れがほどく花筏  紀久子

口ぐせは今が幸せ朝桜  悦子

降り足りて仄くれなゐの春夕焼  恵子

    俳誌嵯峨野 十月号(通巻639号)より

 

 

 

      

 

 

 

 

 


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