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Channel: 水彩画と俳句の世界
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六月の詩(薄氷)

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                                英国庭園の鴨小屋のある池(大津市)

     薄 氷

  雪山に爪跡しかと獣道   惟之

  樹氷咲く祠に一礼いただきへ

  山頂は雪の煌めく四畳半

  耀うて波の形に薄氷

  稜線に数多の古墳春あられ

    誌上句会 兼題「菜の花」

  特選

  妖精のタクト一振り花菜風   洋子

  菜の花や古刹の塔の高からず  篤子

  菜の花は菜の花色の月浮かび  葵堂

  靴紐は蝶蝶結び花菜道     咲久子

  どの道も花菜明かりの島のバス 近子

  秀作

  なだらかな径は古墳へ花菜風  ひさ子

  菜の花の吉備路や風のやわらかし よう子

  船笛の膨らみ来たる花菜畑   京子

  比良からの風に溢るる花菜かな 惟之

  比良を背に菜の花畑と志賀の湖 静風

  菜の花の波立つ伊吹下ろしかな 恵子

  総武線菜畑へ海へ走りゆく   信儀

  菜の花は故郷の色電車来る   睦美

  菜の花の映ゆる河内や菜の花忌 捨弘

  菜の花の黄の絨毯も村起し   幹男

  富士山の脇役風の花菜畑    京子

  菜の花や知覧に残る武家屋敷  仙命

  下田路のをちこち菜の花明かりかな  佳子

  菜の花の彼方や光る太平洋   ともはる

  菜の花の中より犬の現れる   山女魚

  菜の花や妻をたよりに起き上がる  優

  菜の花にふくらむ羽音浜離宮  奈緒世

  一面の花菜畑やかくれんぼ   敏子

  菜の花に触れ憂ひごとほどけゆく  純代

  川沿ひつづく菜の花路線バス  加代子

     やまびこ(四月号の作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

  炭を足し言葉足らずを補ひぬ  方城

  晩年の或る日沖ゆく鯨かな   勝彦

  湧きいでし谷水抱き山眠る   きぬ

  歌やがてハミングとなる枯野道 優江

  白杖の友を案ずる御祭     和子

  あの頃と戦後を語る冬帽子   爽美

  暁闇の星のもちくる霜のこゑ  爽美 

  野仏の御手を離れぬ冬の蝶   素岳

  問われたる答へ探しつ炭をつぐ 素岳

  障子なき家に住み慣れ年用意  隆を

  いつからか夫唱婦随や石蕗の花 近子

  先ず夫を使ひに出して煤払   洋子

  小春日や姉の形見の靴磨く   節子

  悔いなしと言ひたし独り枯葉径 翠

  八十路超へまだ現役と冬迎え  満枝

     俳誌 嵯峨野 六月号(通巻563号)より


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