早苗田に映る建設中の吊り橋(大津市太子)
しづり雪
雪吊の松を見上げて鼓門 惟之
懐子となりて子犬の雪解道
大寒に忽と垂れをり右手首
指先の痺れは癒えてしづり雪
寝返りはもう間近なり梅ひらく
誌上句会 兼題「落花」より
惜しまれつ散るが桜よ潔く 捨弘
自転車の兄へいもとへ落花かな 洋子
一片の落花の行方水流る 秀子
花吹雪逆らふやうに車夫来る 初枝
浮御堂庇の遠く花吹雪 惟之
干し傘の落花を払ひたたみ込む 美枝
疎水通る舟にひとひら落花かな テル
やまびこ 感銘・共鳴ー私の好きな一句より
溢れさす柚湯や余生幾年ぞ 東音
日だまりは神の懐冬すみれ きぬ
ちよつと嘘ついてショールに身を隠す 利里子
元朝や百歳句集に挑まむと 淨山
マフラーで子に送る荷のすきま埋め 節
出会ひより別れ増えきて年の暮 治子
枇杷咲きて長き留守なる母の家 洋子
風に耐へ風にきらめく冬桜 久子
初猟のエンジンの音つぎつぎと 通幸
山山は日暮れのいろぞ枇杷の花 みどり
日向ぼこ会釈かへして出ぬ名前 美枝
俳誌 嵯峨野 六月号(通巻第551号)より