毛馬閘門での鮎つり風景
「欅」句会の春の吟行会は蕪村の故郷である大阪市都島区の毛馬町の蕪村公園で開かれました。こちらは捨弘さんの地元。JR大阪駅前守口車庫行(路線番号34)の市バスに乗り、蕪村公園まで約20分。すぐに大川横の公園に出たら、緋色の牡丹が見事咲き誇り、蕪村句碑「閻王の口や牡丹を吐かんとす」に圧倒された。そして「夏川を越すうれしさよ手に草履」「夕風や水青鷺の脛をうつ」など次々と蕪村の句碑に心うたれて、鮎釣りで賑わう閘門近くにゆく。ここ毛馬閘門では日に3万匹の稚鮎が上流に遡上するらしい。竿を挿したら、すぐに銀色に輝く鮎が釣上げられている。まさに入れ食いとはこのことであろうか。しばらく句材を溜めこんで、ここから下流を漫歩。水面を滑るように満員の観光船がゆく。向う岸には間口を広げたドックが見え、春風橋を渡る。そして、葉桜の緑溢れる道を過ぎて、句会会場に向かう。兼題は「風光る」「春の川」。句会では500mlビール缶3本開けられた心太さんの句に特選が集中。まいりました。幹事の捨弘さんお疲れ様でした。
春昼や月は蕪村の句碑の上 心太
緋牡丹や蕪村の句碑を輝かす
竿二本携へ急ぐ春の川 すてひろ
春うらら三百円の弁当屋
春の風一期一会の蕪村園 ひろよし
風光る蕪村の句碑の威光かな
道草も楽しき春の山野草 ひろき
句碑たどる淀の堤や風光る
鮎のぼる毛馬閘門に人の群れ ひさ子
大川にレガッタの櫂躍動す
葉桜や屋台の並ぶ日曜日 けい子
風光る大川下る船満員
てふてふの句碑よむ如く競り上がる のぶゆき
釣人の土手の賑わい燕来る
春川に影の色濃きドックあり のぶゆき
ほやほやの蕪村公園風光る 心太
春風や春風橋をわたりけり すてひろ
鮎釣りの次々釣れて賑わえり のぶゆき
大川や春風釣の糸を吹く 心太
肩ならべ釣り競う会う毛馬堤 ひさ子
緋牡丹と蕪村句碑。刺激的で目が吸い込まれる。すぐそばの大川の畔をサイクリングや散歩の人が行き交う。蕪村公園内には、13の句碑が見られたが、5句を示します。「風光る蕪村の句碑の威光かな ひろよし」の掲句に蕪村さんが句碑の陰できっと笑っているような気がする。
春の海終日のたりのたりかな 蕪村
なの花や月は東に日は西に
楠の根を静かにぬらすしぐれ哉
斧入れて香におどろくや冬木立
芭蕉去てそののちいまだ年くれず